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【BOX】長谷川ほどファンを感動させるボクサーはいない…不屈の男が意地の王座奪還

スポーツ報知 9月17日(土)6時5分配信

◆報知新聞社後援 プロボクシング「ワールドプレミアムボクシング」▽WBC世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇長谷川穂積(TKO 9回終了)ウーゴ・ルイス●(16日、エディオンアリーナ大阪)

 元世界2階級王者の長谷川穂積(35)=真正=が、9回終了TKOでWBC世界スーパーバンタム級王者ウーゴ・ルイス(29)=メキシコ=を破り、WBCフェザー級王座から陥落した2011年4月以来の世界王座返り咲きを果たした。試合45日前に左手親指の付け根を脱臼骨折する危機を乗り越え、国内男子最年長の35歳9か月で王座を奪取。国内ジム所属選手では5人目の世界3階級制覇も達成した。長谷川の戦績は36勝(16KO)5敗、初防衛に失敗したルイスは36勝(32KO)4敗。

 奇跡だ。10回開始のゴングが鳴っても、ルイスはイスから立ち上がれない。1988日ぶりの王座返り咲きが決まった。長谷川は左拳を何度も握りしめた。「ここまで長かった。夢みたいです」。前回の世界戦で敗れた4月23日は2010年に他界した母・裕美子さん(享年55)の誕生日。「2年越しになりましたけど、誕生日プレゼントを渡せて幸せです」。天国に3階級目のベルトを届けた。

 世界戦で勝った時だけリングに上げるという家族のルールで、長男の大翔(ひろと)君(13)、長女の穂乃(ほの)ちゃん(10)と並んだ。「小さい時は僕が抱っこしていた。こんなに大きくなって…。約束なんで、子供に抱っこしてもらいます」。大翔君に抱きかかえられて「最高です!」と絶叫。「(穂乃ちゃんに)リングに絶対に上げてね、と何百回も言われていた。子供の願いをかなえられて幸せ」と父親の威厳を示した。

 「負けたら引退と決めていた」。877日ぶりの世界戦で、観衆の心をつかんだ。劣勢の長谷川がクリンチをするたびに、応援の拍手が起こった。ハイライトは9回だ。ルイスの左アッパーを食らい、ロープに詰め寄られながら、反撃した。相手のパンチをかわし、左右のフックを繰り出した。「チャンスだと思った。攻撃が荒かった。フック系できてくれたので助かった。最後の打ち合いで打ち勝ったことが勝因」。執念が王者を病院送りにした。

 実は大ピンチだった。試合45日前、スパーリングの開始日に左手親指の付け根を脱臼骨折した。「試合もできるかどうか分からない状態だった。痛みがなくなったのは今週」。骨折の翌日から右手だけで練習し、翌週に手術を受けた。練習では痛み止めの座薬を入れ、患部にはプレートが入ったまま。「骨折したからこそ、右をたくさん練習できた。けがをしてよかった、と思えるような45日間にしようとした」。右ジャブを多用し、KO率82%の王者を懐に入らせなかった。

 進退を含めた今後については「終わったところなので、何も考えていない」と明言を避けた。現役を続ければ初防衛戦は相手を選択できる見込み。再びリングに立つ姿を見たい―という声は多いはずだ。長谷川ほどファンを感動させるボクサーは、今のボクシング界にはいない。(伊井 亮一)

 ◆長谷川 穂積(はせがわ・ほづみ)1980年12月16日、兵庫・西脇市生まれ。35歳。99年11月にプロデビュー。2003年5月に東洋太平洋バンタム級王座、05年4月にWBC世界同級王座を奪取し、10度防衛。10年11月に同フェザー級王座を獲得し、国内初の飛び級で2階級制覇。身長168センチの左ボクサーファイター。家族は妻と1男1女。

最終更新:9月17日(土)12時19分

スポーツ報知

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。