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<桜のミニチュア>「満開の人生を」高齢者に 青森

毎日新聞 9月17日(土)9時1分配信

 「桜を見て元気になって、前向きに生き生きと過ごしてほしい」--。青森市旭町地区に住む神照文さん(64)は、7年前から手作りの記念品を地区の敬老会でお年寄りに贈っている。今年は弘前城の桜をモデルにした桜のミニチュア約200個を制作中だ。19日の敬老の日を前に急ピッチで作業が進む。【一宮俊介】

 桜を選んだのは、昨秋、石垣修理のため天守を解体せずに動かす弘前城の曳屋(ひきや)工事に参加したことがきっかけだった。「工事が終わるのは数年後だから、弘前城と桜並木の風景を見られなくなるお年寄りがいるかもしれない」と思った。

 作業はほぼ1年がかり。花が咲く前に桜の木を観察して枝の生え方をメモ帳にスケッチしたり、散った花びらを見たりして特徴をつかんだ。実際に作り始めたのは今年3月ごろ。材料選びから作り方まで、全て自分で考えた。

 最初に割り箸や紙粘土、つまようじなどで木の幹と枝を作って、茶色のスプレーで着色。枝の先に直径4ミリほどの丸い紙を貼り、その上から花びらに見たてた紙と花の中央に黄色いビースを添える。最後に約10センチ四方に切り取った色紙に桜の木を立て、その周りを黄緑色の画用紙で覆い、弘前城が写った写真を後に固定した。

 こだわりは細部に及ぶ。光の当たる角度を考えて濃淡の異なる2種類の紙を花びらに使ったり、花の咲き方をきれいに見せるために枝の長さを変えたりしている。ピンセットを使う作業は、1本の桜に花びらをつけるだけで15分はかかるという。作業のピークを迎える夏には、部屋中に並ぶ細かい部品が飛ばないよう、扇風機やエアコンは使わず、汗だくだ。

 神さんの原動力は感謝の気持ち。実家が魚屋だったため、朝が早く、周囲に魚の臭いを漂わせたりしていたが、近所の人たちは優しかった。「お世話になった分、何か恩返しできないか」と、2010年の敬老会で手作りの金魚ねぶたを贈った。以来「折り鶴」「弘前ねぷた」「松ぼっくりツリー」などを作ってきた。

 旭町地区社会福祉協議会の塩野秀春会長(79)は「毎年神さんの作品を楽しみにしている人がいる」と話す。

 神さんは「葬儀の時に、記念品を棺おけに入れた遺族もいた」と振り返り、「身近な高齢者に満開の人生を送ってほしい」と力を込める。

最終更新:9月17日(土)9時1分

毎日新聞

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