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<台風被害>宿不足深刻化 ボランティアら困惑 岩手・岩泉

毎日新聞 9月17日(土)9時30分配信

 台風10号の大雨で、岩泉町など被災地を支援しようとしているボランティアの宿不足が深刻化している。参加者は宿泊先を自分で手配しなければならないが、紅葉などの観光客や国体関係者が町内外の宿泊施設を既に予約しており、空室がほとんどない状況だ。同町は体育施設などを一時無料宿泊所として開放する予定だが、宿不足がボランティア不足の一因になっている。【近藤綾加、小鍛治孝志】

 岩泉町向町地区。中村範子さん(77)の木造2階建ての自宅は、1階部分が床上浸水した。盛岡から駆けつけた兄知愛(ともよし)さん(79)ら4~5人で、泥出しをしてもらっているが、今も部屋には20~30センチほど流れ込んだ泥が残る。汚れたタンスなど、重い家具も運び出せていない。

 「作業に終わりが見えないね」。中村さんに疲れがうかがえる。「高齢者に力仕事はつらく、片付け作業で1日が終わってしまう。ボランティアの若い人たちに重い家具や泥出しの作業を手伝ってもらえれば」

 県社会福祉協議会によると、16日現在で県内外の延べ5638人がボランティアに参加し、同町や久慈市などの被災地で家屋に流れ込んだ土砂やがれきを撤去したり、家財道具の片付けをしたりしている。

 しかし、被災者からボランティアに手伝ってほしいと依頼があった934件のうち、作業が終わったのは535件。今後も作業が必要な所やこれから対応する所が計400件近くに上る。

 特に被害が大きかった同町では、361件の要請のうち、作業が終わったのは2割程度にとどまる。県社協の担当者は「孤立状態が続いており、ボランティアの支援を遠慮する人もいて、実際にはまだまだ困っている人がいると思われる。今後も多くの人手が必要」と話す。

 ところが、遠方から訪れるボランティアが宿を取るのに四苦八苦している。紅葉シーズンの観光客や復興工事の関係者らで混雑するうえ、今年は10月に国体もあり、被災地や周辺の宿泊施設には既に、選手や監督など大会関係者の予約が入っている。

 宿不足を少しでも解消しようと、町は17日からの3連休に、宿泊用に体育施設「町B&G海洋センター」など2カ所を開放。約30人が寝られるという。「いわてNPO災害支援ネットワーク」(北上市)は、町内のセレモニーホール「うれいらホール」に約50人分を確保するなどした。

 ただ、岩泉町だけでも平日で150人ほどのボランティアが活動。休日には更に増え、宿泊先は足りていないという。地元の支援関係者は「個人宅や自治会で集会所を宿泊場所として開放したりして何とかやっている状態。盛岡にも宿がなく、ボランティアに来られない人が多くて困っている」と話している。

最終更新:9月17日(土)9時30分

毎日新聞