ここから本文です

地銀、のしかかる2重苦=マイナス金利と人口減-地域密着型に活路〔深層探訪〕

時事通信 9月17日(土)8時32分配信

 超低金利と将来の人口減少が、地方銀行の経営にのしかかっている。金融庁は、人口減少によって地銀の6割超が2025年3月期に貸し出しなどの本業で赤字になると警鐘を鳴らした。地銀に地域密着型の金融サービスに活路を見いだすよう促している。

 ◇衝撃の試算
 衝撃の試算は、金融庁が15日公表した金融リポートに盛り込まれていた。9年後に全国の地銀106行の6割超で、融資や金融商品の販売などの顧客向けサービス業務が赤字になるという。

 背景にあるのが人口減少だ。借り入れ需要の減少が見込まれ、超低金利による利ざやの縮小を貸し出しの増加で補えなくなる。

 ここ数年、地銀の経営統合が相次ぐが、試算は単純な規模拡大は根本的な解決策にならないことを示唆している。「持続可能なビジネスモデルの構築が中長期的に取り組むべき課題だ」。地銀の将来について、金融庁幹部はこう指摘した。

 リポートには直接言及がなかったが、足元では日銀のマイナス金利政策が収益を大きく圧迫する。「総括的な検証」を取りまとめる20、21日の金融政策決定会合では、マイナス金利幅を拡大するとの観測も浮上している。全国地方銀行協会の中西勝則会長(静岡銀行頭取)は14日の記者会見で「マイナス金利は地銀にとって良いことは何もない」と苦しい表情で語った。

 ◇金利より事業理解
 金融庁が事態打開のカギと位置付けるのが、担保などを取らずに地元企業の事業内容や将来性を見極める事業性評価融資だ。企業の業績が一時的に悪化した場合でも親身になって経営改善を支援すれば、企業は比較的高めの金利でも借りてくれるというわけだ。

 一部の地銀は、こうした地域密着型の金融サービスを展開することで貸出金利の低下を防いでいる。しかし、地銀全体では利ざやの縮小は止まっていない。15年以降、金融庁が全国の中小零細企業約3200社を対象に調査したところ、主力取引銀行に求めるものとして「事業への理解」が「融資の金利条件」の3倍に上っており、企業と銀行の認識にはギャップがあるのが現実だ。

 ◇55の指標
 このため金融庁は、地域金融機関の金融仲介能力を客観的に評価するための55の指標を策定。このうち事業性評価融資の件数など五つをどの地銀にも共通に当てはめる一方、残りは選択的に設定できるようにし、「地銀との対話の道具」(幹部)として活用する考えだ。

 ただ、地銀からは「実績を出さなければ当局に経営に介入する口実を与える」との警戒感もにじむ。取引先企業の業績を改善させることで、銀行自身の経営も安定させる好循環を生み出せるか。地銀に残された時間は少ない。

◇金融仲介機能の共通5指標
▽主力行としての融資先のうち、経営指標の改善や就業者数の増加があった件数と融資
 額の推移
▽貸付条件を変更した中小企業の経営改善計画の進捗(しんちょく)状況
▽創業や業態転換に関与した件数
▽企業の成長段階別の融資件数と融資額
▽事業性評価に基づく融資件数と融資額、全体の融資に占める割合

最終更新:9月17日(土)8時35分

時事通信