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<医療>腰痛と首こりの原因は猫背にあった

毎日新聞 9月17日(土)10時0分配信

 仕事中にとっている姿勢は職種によって異なり、そのためにストレスのかかる部位やかかり方が違います。パソコンを使う機会も多いデスクワーカーにとって、ストレスがかかるのは腰と首です。なぜでしょう。そして、痛みを軽減する方法は? お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック院長の銅冶英雄さんに聞きました。【医療ライター・竹本和代】

 ◇デスクワーカーの訴えは「腰痛、首こり」

 当院を受診されるデスクワーカーの患者さんからの訴えで最も多いのは腰痛、次が肩こりです。日本では「肩こり」といいますが、肩とは本来肩関節を指します。肩たたきでとんとんとたたく部位は首の筋肉の延長なので、ここでは「首こり」という言葉を使います。つまり、デスクワーカーが痛みを感じる2大部位は腰と首というわけです。

 本題に入る前に、基礎知識として背骨の構造を説明します。人間の背骨は、「椎骨(ついこつ)」という切り株のような形の骨が縦に積み重なってできており、椎骨と椎骨の間には「椎間板(ついかんばん)」というクッションの役割をする軟骨があります。椎間板の中には、「髄核」というゼラチン状の物質があり、その周囲は「線維輪」という組織で囲まれています。背骨を前や後ろに曲げるとき、髄核はその動きに応じて線維輪の中で移動し、椎間板を変形させます。

 では、デスクワークと腰痛の関係です。デスクワーク中は、書き物をしたりパソコンのモニターを見たりします。このとき姿勢を意識していなければ、たいてい猫背になっています。猫背の姿勢では、髄核は背中側に移動します。この状態を長時間続けると、線維輪にストレスがかかり、亀裂が生じます。亀裂が線維輪の外側に達すると、痛みを感じます。椎間板には血液が流れておらず、亀裂ができるとなかなか修復されません。亀裂が残っていると、ちょっとした動きでも髄核がずれて、亀裂が椎間板の外側にまで広がって痛みを感じます。これが「腰痛持ち」と言われる人の状態です。

 線維輪が破れて髄核が背中側にはみ出し、その後ろを走っている神経を圧迫している状態は「腰椎椎間板ヘルニア」です。髄核がはみ出していなくても、線維輪が傷んでいる状態は「腰椎椎間板症」といい、腰痛の原因になります。いわば、ヘルニア予備群です。

 ◇腰痛のほとんどを占める後屈改善型

 腰痛は、大きく二つに分けられます。一つは、腰を後ろにそらすと楽になる「後屈改善型」で、腰痛全体の8、9割を占めます。猫背が原因の腰痛はこのタイプです。もう一つは、腰を前に曲げると楽になる「前屈改善型」で、腰を伸ばした姿勢を長く続ける人に多く見られます。どちらのタイプか、次の方法で確認しましょう。

 まず、体をそらす「壁反らし体操」を10回行います。

【方法】

(1)足を肩幅に開き、壁に両手をついて立つ。肘は伸ばす。

(2)腰を前に徐々に突き出していき、大きく反らす。このとき肘や膝を曲げない。

 これで痛みが改善したなら、あなたの腰痛は後屈改善型です。壁反らし体操で痛みに変化がない、あるいはより痛くなったなら、次は体を前に曲げる「壁おじぎ体操」を10回行ってください。

【方法】

(1)背中を壁につけ、あごを引いて立つ。足は壁より半歩ほど前に出し、膝は伸ばす

(2)骨盤が壁から離れないよう腰に手を当て、ゆっくりとおじぎをし、ゆっくりと戻す。このとき膝を曲げない

 これで痛みが緩和されたなら、あなたは前屈改善型の腰痛、ということになります。

 ◇首こりも実は猫背が原因

 次は首こりです。実は、これも猫背が原因です。猫背でパソコン作業をしていると、モニターを見るのに顔を起こして正面に向けなければいけないため、あごを突き出すような姿勢になります。このとき、首の上のほうの上部頸椎は後ろに曲がり、下のほうの下部頸椎は前に曲がります。ここから先は、腰痛の説明と同じになります。

 自覚症状としては筋肉のこりですが、その大もとは背骨にあるのです。首こりには、首を後ろに引くとよくなる「後方改善型」、首を前に倒すとよくなる「前方改善型」、首を左右に動かしたり回したりするとよくなる「側方改善型」があります。猫背でのデスクワークが原因の首こりは「後方改善型」で、当院では患者さんの8、9割がこのタイプです。

 腰痛と同様に、首こりも自分でタイプを判断することができます。まず、首を後ろに動かす「首引き体操」を10回行います。

(1)利き手で反対側の首の根元を持ち、腕が床と平行になるよう肘を上げる

(2)あごを引き、首の根元を前に引っ張りながら、その力に抵抗して首を後ろに動かす

(3)ゆっくり戻す

 これで痛みが改善したなら、後方改善型です。変化がないか、より痛くなった場合は、次に首を前に動かす「おじぎ体操」を10回試してみます。

(1)あごを引き、利き手を頭頂部に置いて、手の力で頭を押し下げる

(2)ゆっくり戻す

 これで痛みが改善したなら、前方改善型と判断できます。これでも変化がない、あるいはより痛くなった場合は、首を左右に動かす「右/左倒し体操」を10回行います。

(1)あごを引き、右手を頭頂部に置いて、手の力で首を右肩につけるように下げる

(2)ゆっくり戻す

(3)左倒しも同様に行う

 それぞれのタイプが分かったら、痛みが改善した運動を続けましょう。

最終更新:9月17日(土)10時0分

毎日新聞

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