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<登山者検知システム>遭難や災害での活用期待 富山県立大

毎日新聞 9月17日(土)13時0分配信

 富山県立大(射水市黒河)の石坂圭吾准教授(電波工学)は16日、携帯電話が通じない山岳地帯でも登山者の位置情報を電波で検知する新システムを開発したと発表した。登山者が持つ端末と検知者の端末との相互通信が可能で、身動きできない遭難者の位置が把握しやすくなるという。災害での活用にも期待される。【青山郁子】

 北陸電気工業(富山市下大久保)とゴールドウイン(小矢部市)と共同で開発した。

 近年の登山ブームで、山岳遭難は増加傾向にあり、警察庁の統計によると昨年の2508件のうち586件が携帯電話を使用できない現場だったという。

 現在、雪崩で埋没した人を検知する「雪崩ビーコン」が普及しているが、電波の送受信のみで情報のやりとりができない。石坂准教授らは2年前から、新システム開発を実施。8月の電波法改正で、動物探査などに利用されていた150メガヘルツ帯の電波が人の位置検知に利用可能となり、このシステムで活用された。

 仕組みは、山小屋などに「検知者端末」を設置し、登山者はリュックに端末を縫い込んだ「登山者端末」を持参して相互通信する。

 道に迷った場合はもちろん、遭難者が自力で操作できなくても、救助隊の送信要求コマンドで登山者端末から位置情報を送信させ、検知者端末でとらえることができる。別の登山者端末を中継し、SOS情報を転送することも可能。定型メッセージの送受信や雪下約10メートルまで検知できる機能もある。

 この日は、富山市大手町の富山国際会議場で、説明会とデモンストレーションがあり、同会議場に「検知者端末」、県庁と富山駅に「登山者端末」を設置し、通信に成功した。

 10月には立山・室堂周辺で実証実験し、携帯電話不通地域で確認作業をする。操作性などを改良し、2~3年後の実用化を目指す。石坂准教授は「実用化されれば、富山発の安心・安全な見守りシステムが実現する。御嶽山のような火山噴火や台風、地震などの自然災害時でも人の位置情報だけでなく災害情報を知らせる手段として有効だ」と説明している。

最終更新:9月17日(土)13時0分

毎日新聞