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<レーダー衛星>ベトナムへ初輸出 大筋合意 数百億円規模

毎日新聞 9月17日(土)15時1分配信

 ◇NECと三菱電機が開発する「ASNARO-2」

 NECと三菱電機が開発する新型高性能小型観測衛星「ASNARO-2」を、宇宙関連事業を担うベトナム政府系機関「科学技術院」(VAST)に納入することで大筋合意したことが17日、分かった。日本政府の後押しによるもので、受注額は地上設備などを含め数百億円規模の見通し。観測衛星の輸出は初めてとなる。日本政府は拡大する衛星市場への日本企業の本格参入を目指しており、今回の輸出で弾みをつけたい考えだ。【宮川裕章】

 今回輸出するのはレーダーで地上を観測する衛星。カメラを搭載した光学衛星の利用が難しい夜間や曇天などの条件でも観測が可能で、災害時の状況把握や農作物の状態確認などに活用される。

 「ASNARO-2」はレーダー衛星として世界最高水準の解像度で、重量は550キロと小型。政府の補助を受けてNECと三菱電機が実証のための1号機を開発し、来年中に打ち上げる予定。ベトナム政府は、災害時の被害状況の確認などに使用する計画で、日本の政府開発援助(ODA)予算を利用し、2018年ごろに完成する2号機が納入される。ベトナムは曇天が多く光学衛星が利用しにくい事情からレーダー衛星を求めており、日本は官民で売り込みを図っていた。

 経済産業省によると、世界の衛星産業の市場規模は、05年からの10年間で2・3倍に拡大し約2030億ドル(約20兆7500億円)に達した。しかし、日本国内の宇宙機器の売り上げは伸び悩み、14年で3500億円にとどまっている。観測衛星は小型化技術が進んで打ち上げ費用が抑えられるようになり、新興国を中心に需要が伸びている有力分野。政府は今後も、国際競争力のある小型で低コストの衛星を開発する企業を支援し、輸出拡大を促す方針。

 日本では官民が利用する衛星画像データの大半を海外の衛星に依存しているため、国産衛星の生産拡大は安全保障上のメリットもある。

最終更新:9月17日(土)16時55分

毎日新聞