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<白馬村>ヤフーと連携1年…活性化策次々、継続に課題も

毎日新聞 9月17日(土)21時52分配信

 長野県白馬村が、情報通信技術(ICT)を活用した観光振興や人材育成などの活性化策を相次いで仕掛け、「スノーリゾート」以外の魅力作りに取り組んでいる。後押しするのは、昨年9月に村と連携協定を結んだインターネット検索大手「ヤフー」(東京都港区)。地方の自治体が企業と「まちおこし」に取り組むモデルとなりつつあるが、継続には事業の収益化など課題もある。【稲垣衆史】

 6月末、同社のネットサイト「ヤフーショッピング」内に「道の駅白馬」が開設され、村特産の「紫米」や「食用ほおずき」を使った商品販売が始まった。企画したのは白馬高校の生徒有志。昨年末から同社員に販売促進について学び、商品から紹介文まで考案した。取り組みは連携協定の一環だ。Eコマース(電子商取引)を学びながら、村の「特産品」作りを進めるのが狙い。同校2年の水嶋柚希さん(16)は「地元の魅力発見にもつながった」と、現在はPR動画制作に意欲的だ。

 協定の目的は「相互に協力しながら、村の活性化に取り組む」。同校国際観光科の生徒にネットでの旅行プラン提供の方法を教えたり、観光客の動向分析をしたりと、観光やICT教育が中心だ。村の課題である春~秋の集客増を進め、安定的な通年雇用の創出などへつなげていく。

 同社などによると、連携のきっかけは村を訪れたアウトドア好きな社員と住民との交流だった。社員たちがトレイルラン大会の開催を提案し、初開催の2011年から毎年ボランティアとして運営に協力。夏場の目玉イベントに成長させた。14年11月の県北部の地震ではヤフーが支援物資の寄付を呼び掛けるなど関係が深まっていった。

 村によると、連携によって村民にも変化が生まれている。昨年始まった住民らのネットワーク「百馬力」も同社側の提案がきっかけだ。活性化のアイデア実現を考える会で、既に国際スクール構想や五輪を目指す選手の支援計画が動き出すなど活動が活発になった。

 県外からの移住者で、まちおこしを担う村総務課の渡辺宏太さん(34)は「企画提案や実行を担える人材が不足していたが、互いにやりたいことが進められるようになった。自然豊かで挑戦できる環境もあれば、人は集まる。『田舎だが、先進的な村』を目指したい」と意気込む。

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 「ICTを活用した課題解決」を掲げるヤフーは近年、地方の活性化につながる事業に力を入れている。包括提携は埼玉県や北海道などとも結ぶが、石田幸央・公共サービス事業本部長は「白馬村では初めて試みる挑戦的な取り組みが多い。従来からの住民とのつながりが大きい」と話す。

 村との協定は今年度末までで毎年更新するが、協力関係を続けられるかは事業の「収益化」が課題になる。村でも、大学と協定を結んだものの人手不足で進まない前例もある。

 同社は連携の継続に向け、村内の施設に自社のサテライトオフィスを設置する検討を始めた。担当者を常駐させ、収益を上げるためだ。8月に村で試行した子供向けプログラミング教室など、ニーズがあれば収益事業として各地での展開も模索していくという。

 石田本部長は「10~20年という継続的な取り組みが必要。ヤフーが収益化を目指すことで、地元の利益にもなる仕組みを作る」と話す。

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 ◇ヤフー

 日本最大級のポータルサイト「Yahoo!JAPAN」を運営。インターネット広告やEコマース、会員サービス事業などを展開する。1996年設立。従業員数5800人。同じソフトバンク(SB)グループの「SBドライブ」(東京都)も8月に白馬村と自動運転技術を活用したサービスの事業化に向けた連携協定を締結し、移動の課題に取り組む。

最終更新:9月17日(土)22時1分

毎日新聞