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もはや経済制裁では北朝鮮の「核」暴走は止まらない 朴大統領「金正恩の精神状態は統制不能だ!」

産経新聞 9月17日(土)12時45分配信

 第6回核実験の可能性も出てきた北朝鮮の暴走、次の山場は10月10日の朝鮮労働党創立記念日となりそうだ。米韓は10日から15日、北朝鮮の鼻先の黄海などで米韓合同海上訓練を実施する。訓練は有事の北朝鮮主要施設への攻撃も想定した訓練で米海軍の原子力空母、ロナルド・レーガンが参加する。国連では安全保障理事会の新たな制裁決議に向け調整が続くが、制裁限界論が大勢となっているのも事実。米韓軍の軍事的抑止は強化の一途で、偶発的衝突などの危険性も高まっている。

 ■米韓軍による軍事圧力はさらに強化、緊張はエスカレート

 10月10日からの米韓合同海上訓練は黄海と済州島沖で実施される。訓練に米国が空母ロナルド・レーガンを派遣するのは、北朝鮮の第5回核実験を受けて米韓軍が有事に強力な体制を準備している抑止効果を狙ったものだ。訓練は有事の北朝鮮の中枢施設への攻撃を想定しているとされ、北朝鮮を極度に緊張させることで挑発行為への抑止も狙っているとみられる。

 9月の核実験を受けた措置で、米国は9月13日、戦略爆撃機B1を2機、韓国に展開した。B1はグアムから飛来、朝鮮半島では韓国空軍のF15、4機に援護されてソウル郊外の烏山空軍基地上空に向かった。グアムから平壌までは2時間。BIは平壌を消滅させる能力を持ち、北朝鮮幹部が身を潜める平壌地下の防空施設を破壊する誘導戦術核を搭載できる。

 1月の核実験後、すでに米国は韓国に“世界最強のステルス戦闘機”F22を4機、配備している。F22も核兵器搭載可能で烏山から平壌まで7分で到達する。いずれも北朝鮮の挑発への強い警告メッセージだ。

 9日の核実験後、米韓は米韓統合国防対話を開催し今後の米戦略兵器の韓国への展開など、米国の拡大抑止(同盟国への米本土と同様の核抑止)を再確認、米韓の最大の脅威を「核とミサイルを政権の生存手段とする金正恩朝鮮労働委員長」と規定した。

 北朝鮮はこれに猛反発し、B1の出動には『米帝は核先制攻撃の機会をうかがおうとしている』『軽挙妄動するな』(朝鮮中央通信)と非難。軍事専門家は「偶発的、突発的な衝突は、軍事演習時が最も危険」と警告する。

 ■韓国の対北意識、急激に変化

 朴槿恵大統領は核実験後、金正恩氏を「金正恩の精神状態は統制不能とみなければいけない」と激しく批判した。さらに「北がわれわれの領土に核ミサイルを一発でも発射するなら、その瞬間に北の政権を終わりにする」とも断じて強い姿勢をみせている。

 また朴大統領は与野党の代表を大統領府に招き、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に反対の野党に対し、「国民を守るのに代案はない」と説明、「安保の状況を国内政治に利用してはならない」などと述べる野党代表に、朴大統領は「これが利用しているように見えるか」と強く反論、北朝鮮核問題の矮小化を許さなかった。

 韓国の対北意識はいま急激に変化している。政界では与党セヌリ党幹部から核武装論が出されたほか、米国の戦術核再配備論も浮上している。

 韓国国防部は9日の核実験を受け、韓国国会に「北朝鮮による核兵器の使用兆候がみえた場合の作戦「大量反撃報復」を報告した。韓国紙によると、作戦は平壌の一定のエリアに分け、金正恩氏ら戦争指導部が拠点とする区域を地対地弾道ミサイル、巡航ミサイルで集中的に先制攻撃するというもの。また報告では、韓国軍は北朝鮮の戦争指導部を狙う特殊部隊をすでに編成したという。

 これまで明らかになっている米韓軍による北朝鮮の核攻撃への戦略は3段階で行われるとされる。(1)北朝鮮が核使用の兆候をみせた段階では韓国軍がミサイル攻撃、米国は戦略兵器で強い警告(2)北朝鮮の核兵器使用が差し迫った段階では、米韓が北朝鮮の核ミサイルを攻撃(3)北朝鮮が核兵器使用の最終段階に至った段階では、米軍が核兵器を含む攻撃-の3段階だ。国防部が報告した作戦は(1)に相当する。

 ちなみに、北朝鮮の首都平壌は4重の防空網が敷かれているとされる。国境配備の地対空ミサイル、高射砲、最新レーダー・システムなどで「北朝鮮は2000年から対空ミサイルの数量を20倍以上に増強、実戦配備したと把握されている」(韓国・聯合ニュース)という。

 北朝鮮は9日の核実験の目的を「核武器研究所」と名前の声明で「米国はじめ敵対勢力の脅威と制裁に対する対応措置」と主張しているが、一日でも早く核弾頭を搭載した核ミサイルの完成を急ぐ理由は、米韓による軍事圧力への恐怖であろう。朝鮮半島の緊張はレッドラインに近づいているのは間違いない。(産経新聞編集局編集委員 久保田るり子)

最終更新:9月17日(土)12時45分

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