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母乳より粉ミルク、英国の授乳率が世界で最も低い理由

The Telegraph 9/17(土) 10:00配信

【記者:Sam Dean】
 赤ちゃんへの授乳率が世界で最も低い英国──その背景にあるのは、出産後すぐに「自分の人生を取り戻さなくては」というプレッシャーだと、公衆衛生の専門家が指摘している。

 今年1月、英医学誌ランセット(Lancet)に掲載された研究論文によると、出産1年後に授乳を続けている英国人女性は200人に1人、わずか0.5%だった。ドイツでは同23%、米国では同27%に上った。

 この状況について、英ウェールズ(Wales)スウォンジー大学(Swansea University)のエイミー・ブラウン(Amy Brown)教授は、出産前の生活を続けるべきだという社会的プレッシャーにさらされている母親たちにとって、授乳は「大きな負担」になり得ると指摘する。

 ブラウン教授は、「健康上の理由または服用している薬が原因で授乳ができない女性は2%しかいない」と説明し、英国で授乳率が低いのは健康上の問題ではないと述べた。

 その上で、「子どもを産んだばかりの母親たちは、出産後すぐに『人生を取り戻さなければいけない』という大きな社会的プレッシャーに直面する。人と交流しなければ、ジーンズを履けるようにならなければ、パートナーを幸せにしなければ、といったプレッシャーが授乳を大きな負担にしている」と続けた。

 粉ミルクは、胃腸炎や呼吸器疾患リスクを高めるとされているが、英国には、授乳ではなく粉ミルクを選択する母親が多い。1月に発表の研究結果によると、ほぼすべての母親が授乳を選択した場合、年間80万件以上の乳児の死亡を防げる可能性があるという。

 母親たちが粉ミルクを選択する背景には、メーカーの「狡猾な宣伝」もあるという。「英国の母親の90%以上が授乳を望んでいるにもかかわらず、赤ちゃんの半分以上が生後1週目から粉ミルクを与えられている。社会が意識を変え、母親たちを心から支援するようになるまで、授乳率は上がらないだろう」と、ブラウン教授は指摘する。

 自身も3人の子どもの母親であるブラウン教授は、授乳率を現在より6割程度上昇させることができれば、病気で医療機関を受診する赤ちゃんの数が減り、英国民保健サービス(NHS)は毎年4000万ポンド(約54億円)節約できる可能性があると説明する。粉ミルクを与えられた子どもの方が、病気で病院を受診する比率が高いのだという。

 他方で、公共の場での授乳に対する社会の意識も変えるべきとしている。「授乳は自然な行為のはず。それなのにこの国ではメディアやネット上で大きな議論になっていて、その多くが(公共の場での)授乳に対する批判的な意見や、批判された母親のコメントだ」

 ブラウン教授は、「『母乳がベスト(breast is best)』と奨励されているにもかかわらず、授乳する母親をサポートする行動にはつながっておらず、公共の場での授乳は問題ないと考える人が英国には少ない」と述べた。【翻訳編集】AFPBB News

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1855年に創刊された「デイリー・テレグラフ」は英国を代表する朝刊紙で、1994年にはそのオンライン版「テレグラフ」を立ち上げました。
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最終更新:9/17(土) 10:00

The Telegraph

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

うん、核融合炉を作ったよ
核融合こそ未来のエネルギー問題への答えであり、子どもにだって世界は変えられる、テイラー・ウィルソンはそう信じています。そして彼はそのどちらにも取り組んでいます。14歳の時に家のガレージで核融合炉を作り、17歳となった今、直前の依頼に応えてTEDのステージで自分の物語を(手短に)語っています。