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出会いや運が僕らの強さ、水野良樹 いきものがかりを客観視してきた17年/インタビュー

MusicVoice 9/17(土) 9:30配信

 今年3月15日にメジャーデビュー10周年を迎えた、いきものがかり。そのリーダーでソングライターでもある水野良樹(Gt)が8月25日に、自伝的ノンフィクション作品『いきものがたり』を上梓した。同書は、水野が昨年10月から今年5月までの間、Twitter上で書き綴ってきたグループ17年間の活動記録や想いをまとめたもの。そこには、グループ結成からの苦悩や葛藤、音楽ディレクターとの確執、人生を変えたミュージシャン達との出会いなど、これまで明かしてこなかった歴史が刻み込まれている。いきものがかりと言えば、路上ライブで注目を集め、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』主題歌「ありがとう」等のヒット曲を連発し、トントン拍子で音楽シーンを駆け抜けた印象がある。しかし、水野は「出会いや運に巡り会えたという事が僕らの幸運であったところであり、強さだった」と人の巡り合わせや運が良かったことが要因であったと語る。結成17年、メジャー10年の歩みのなかでどう想い、どう感じ活動をしてきたのか。水野に話を聞いた。

【写真】インタビューカット

僕らが出過ぎてしまうと良くない

――自伝書『いきものがたり』を拝読しました。良い事も悪い事も、苦悩までも全てをさらけ出していると感じました。これらを綴っていこうと思った動機は?

 昨年10月にTwitterで綴り始めた時は、ちょうどベストアルバムのリリースを控えていたので、プロモーション的な感じになればいいなというのがありました。それともう一つ動機がありまして、今までは曲そのものが皆さんの元へ届いて欲しいと思っていたのですが、このタイミングで自分達のストーリーも届けて良いのではないかと。

 例えば、恋愛ソングを歌った時に、「これは吉岡(聖恵)さんの経験談なんですか? 水野さんの経験談なんですか?」みたいな感じになると曲が狭くなってしまうので、今まで自分達の事をなるべく喋らずにきたんです。

 それが、10周年というタイミングで自分達の事もストーリーとして楽しんでもらえるんじゃないか、と思ったんです。「10周年というタイミングだったら許されるんじゃないか」と。その中で書き始めたのがきっかけでもあります。

――これまでご自身達の事を話さなかったというのは、意図的に決めていた事だったのでしょうか。

 そうですね。自分達の自己表現であったり、個人的なストーリーというものが全面に出てしまうと、“曲が遠くに届かなくなる”“遠くに行く事を邪魔してしまう”という気持ちが凄くあったんです。曲と作り手、歌い手との繋がりが強すぎるとそればかりが目立ってしまうんです。

 もちろん、そういう曲の素晴らしさというのもあると思うのですが、僕らの場合は聴いて頂いて“なんぼ”なので。皆さんに自分の大切な人を思い浮かべてもらったり、自分自身の個人的な物語を皆さんの方で思い浮かべて聴いて頂くというのが一番大事で、そこに僕らが出過ぎてしまうのは良くないと思っていたんです。

――自分達は無色透明なくらいの方が良い?

 出来ればそうであって欲しいという思いではあります。

――10周年というタイミングで自分達を出したという事ですが、改めて出すとなると照れくさかったりしませんか?

 照れくささというか難しさはありましたね。「本当に書いて良いんだろうか」という迷いがなかった訳でもなくて、自身を晒す(さらす)という事も一度は踏み込んでみないといけないのかなという気持ちもあって、それが結果的に本になるというところまで行くとは、現実的にはイメージしていなかったんです。

――書籍としてのリリースは、これはもうサプライズ?

 そうです。Twitter上の企画で出来ればいいかなという感じでした。ただ、読んで下さる方も多くて、それで出版社の方が声をかけて下さって。割と大事(おおごと)になってしまったなと(笑)。まさか自分達の事を書いた本を出すとは思わなかったですね。なかなかリアルにイメージをしていなかったです。

――音楽ディレクターさんとのやりとりやメンバーとの葛藤がリアルに書かれていますが、吉岡(聖恵)さんや山下(穂尊)さんは『いきものがたり』を読まれたのでしょうか?

 読んでいますね。

――お二人から感想は頂きましたか?

 彼らが知っている事の方が大きいので、僕が知らないような経験もしているでしょうし、この本にも書きましたけど、自分が経験してきた事と彼らが見てきた事や考えてきた事は微妙に違っていると思うので、いろいろ思うところもあると思います。

――水野さん視点という事で、吉岡さんと山下さんがどういう視点で見ているかというのはまた別物と。

 また別の事ですね。なので、複雑に思っている事もあると思うんですけど。

――「ああ、そう見ていたんだ」という部分もあるでしょうね。

 それはあるかもしれないですね(笑)。

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最終更新:9/17(土) 9:32

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