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ファミコンも江戸時代も、子供にとっては大昔

ニュースソクラ 9/17(土) 12:00配信

【いま大人が子供にできること(20)】自分が子供だった頃の「昔」を教えてあげる

 いまの小学校カリキュラムのなかには、いまの道具と昔の道具を比べたり、日本のものと西洋のものを比べたりしなさい、という授業があります。

 というわけで毎年その時期になると、小学生が大量に図書館に押し寄せてきて昔のことを調べたい、といってくるのですが、そうなると「昔っていつ?」と聞かざるをえません。
 「昔」の範囲が広すぎるからです。

 そうしたら……。「1990年代くらい?」といわれて、図書館員がみなショックを受けた年がありました(笑)。

 確か、2005、6年だったと思いますが「えっ? 1990年代って昔なの?」でした。

 だれだって自分が生きていた時代が「昔(?)認定」されるとは思いませんからね。
 しかもたった10年前なのに……。

 その時に「いまの子にとっては1995年のコンピュータ以前は石器時代なんだよ」という説明を司書たちにしたのですが、今年はついに「テレビゲームを調べる」といって、いきなり、「この本なら出てるはず!」と『昔の道具』という本にまっすぐいった子がでた、という話になりました。

 それは、たらい、とか、かまど、とかが載ってる本で、当然テレビゲームは載っていないのですが、考えてみたらインベーダーゲームが喫茶店に登場したのって……1978年よね?
 ということは、もう40年近く前です。

 40年かぁ……。

 それなら「昔認定」されても仕方ないか……。
 でも、ゲームだよ? って気分……。

 それならいつから昔、と感じるか、というと、たぶん生活のしかたが変わったら……だと思うんですよね。

 たとえば、誰も車なんか持ってなくて、舗装されてない土の道を歩いてた時代……は、どこでも車でいくようになった、いまからは昔に感じる……とか……。

 インベーダーゲームも、そのあとのカセットポン!のテレビゲームも、確かにみんな廃れてしまいました。
 下手すると博物館にでもいかなきゃ、もう、現物にはお目にかかれないかもしれません。見たことない子の方が多いでしょう。

 そう考えると「昔の道具だ」と感じる小学生が間違ってる、ともいいにくい。
 大人にはそのとき生きていた記憶がありますから、どうしてもその時代を昔とは考えにくいのですが、今年の小学生にとってはすでにスマホ以前は昔なのかもしれません。

 4K、8Kのテレビは現実になりました。
 ハウステンボスの、ティラノザウルスがフロントでお迎えしてくれるロボットホテルは大人気です。
 いよいよ自動操縦の車が現実になりました。
 リニアモーターカーもいずれは走り、あっというまにそれがあるのが当たり前になるのでしょう。
 今年、2016年は10年後からみたらターニングポイントの年になっているのかもしれません。

 昔っていつ?
 うーん、2016年くらいかなぁ、という…ね。

 自分の子どもなのだから、自分が知っていることは知っているはず、と思うと間違ってしまいます。
 向こうは子どもで生まれてから何年もたっていないわけですから、自分の文化しか知りません。

 おりにふれて、お父さんが子どもだった頃、の暮らしや道具や遊びの話をしてやってください。
 そのときふーん、と聞いた知識が案外その子の人としての厚みを作り、さまざまな年代の人とのちに交流できる基盤を作ります。

 そういう意味では三世代同居のお子さんたちは人との距離の取り方も絶妙で、知識も語彙も豊富だと思うことが多いです。
三世代同居、なら必ずそうなるか、というとそうではありませんが。

 これからの日本では日本にいても外国に出ていくことになってもそういう能力は必要になるでしょう。
 団塊の世代のように、数は力だ、で押すわけにもいきません。
 同世代より異世代の人の方がはるかに人数が多いのですから……。

 「10年前以前はわかりません、そういう人とはつきあいたくありません」ではこれからはやっていけないのです。

■赤木 かん子(本の探偵)
1984年、子どもの本の探偵としてデビュー。子どもの本や文化の評論、紹介からはじまり、いまは学校図書館の改装からアクティブラーニングの教えかたにいたるまで、子どもたちに必要なことを補填する活動をしている。
高知市に「楽しく学校図書館を応援する会」として学校図書館モデルルームを展開中……。著書多数。

最終更新:9/17(土) 12:00

ニュースソクラ