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国道274号日勝峠被災地ルポ 室蘭開建、日高町8キロ区間を報道陣に公開

苫小牧民報 9月17日(土)16時0分配信

 8月末の台風10号の大雨の影響で、橋の崩落や土砂崩れなど甚大な被害が発生し、通行止めが続く国道274号日勝峠(日高町千栄-十勝管内清水町、43.8キロ)。室蘭開発建設部は16日、同部管轄の日高町内の約8キロ区間の災害現場を報道陣に公開した。川の増水で損壊した道路や橋は、被災前の姿が分からないほど跡形もなく流失。濁流が運んだ巨大な流木や石も散乱したままで、台風の深い爪痕が今も生々しく残っていた。

 通行止め起点の日高町千栄の国道274号に集まった報道陣は、各自の車両で十勝方面へ進行。千栄の千呂露(ちろろ)橋崩落地点の沙流川に架けられた災害復旧用仮橋を渡り、災害現場へ向かった。川の増水の影響を受けていない場所は、以前と変わらない舗装道路が続いたが、川の濁流が押し寄せた地域に差し掛かると景色は一変。目の前に広がる無残な光景に言葉を失った。

 千呂露橋から約3キロ上流の災害現場では、高さ約6メートルの擁壁が崩壊し、長さ185メートルにわたり道路が大きくえぐり取られていた。道路脇に広がっていたと思われる林は、増水で川幅が数倍に膨れ上がった影響で流失。周囲ではショベルカーやダンプカーが行き来し、川から流れ込んだ土砂や流木を運ぶ作業に追われていた。道路があった場所の脇には土のうが積まれ、復旧作業車両が辛うじて通行できる状況だった。

 次に公開されたのは、そこから約4キロ進んだ日勝峠1合目付近で、日高町からの車両通行が可能な限界点だ。道路は約400メートルにわたり、深さ約3メートルの土砂ごと流失。河川の増水で周囲の林も丸ごと流され、まるで広い河原のような景色となっていた。川の濁流が運んだとみられる無数の大きな岩もごろごろと転がり、自然災害の驚異をまざまざと見せ付けていた。

 公開された2地点の道中では、至る所で道路や電柱、ガードレールなどが損壊。川沿いの家屋の周囲には流木が散乱し、除去作業が続いていた。室蘭開建によると、日勝峠全体の被災状況は、崩落など橋の損傷10カ所、覆道の損傷3カ所、道路欠損6カ所の計19カ所。その他、小規模な損壊が多数発生しているという。室蘭開建の山梨高裕次長は「通行止め解除の見通しは立っていないが、一日も早く復旧させたい」と話した。

 災害現場を見た後、日高町の日高地区市街に立ち寄った。日高と十勝地方をつなぐ動脈の不通から間もなく3週間。交通量が激減した地域の商業者などから悲痛な声が上がっていた。

 「通行止めになってから、客入りは以前の5分の1近くまで落ち込んだ。この状況が続くなら、店を閉めるしかない」。日高地区の国道274号沿いで約15年間、飲食店を営む男性(64)は深いため息をついた。道の駅「樹海ロード日高」の特産品販売所も、売り上げは4分の1以下に激減。担当者は「通行車両は工事関係者か地元住民だけ。不通の影響は計り知れない」。日勝峠復旧の見通しが立たない中、同町観光協会の神保一哉会長は「地域の衰退を免れない危機的な状況。まち全体で智恵を絞って今後の策を考えなければ」と話した。

最終更新:9月17日(土)16時0分

苫小牧民報