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近藤愛子さん91歳、今も服の仕立て 庄原で戦後から洋裁店切り盛り

山陽新聞デジタル 9/17(土) 22:02配信

 広島県庄原市東城町の近藤愛子さん(91)は、終戦直後から地元の商店街で洋裁店を営み、長女に店を譲った今も“現役”。地元だけでなく神石高原町や新見市に住む女性の服の仕立てや修繕に日々追われている。仕事を始めて70年。根気のいる仕事だが、近藤さんは「こうしている時が一番落ち着くんよ」と、きょうも笑顔でミシンを踏む。19日は敬老の日―。

 カタ、カタ…と、どこか懐かしさを感じる足踏みミシンの音が店内に響く。顧客の体の寸法を測って、布を裁断して仮縫い。体形に合っているか試着してもらった後、本縫いに取り掛かる。足踏み式と電気ミシンを使い分け、女性用スーツを仕立てるのに約1週間。近年は既製品があふれ、修繕の仕事が増えたが、「母の思い出の着物を洋服に仕立て直してほしいという娘さんもおるんよ」とうれしそうに話す。

 近藤さんは、東城町内で農家の11人きょうだいの10番目に生まれ、1946年に22歳で結婚。戦時中に近所の人に頼まれて肌着などを繕い、履物店を営んでいた嫁ぎ先でも「いい針仕事をする」と言われた腕を生かし、結婚から半年もしないうちに洋裁店に衣替えした。

 40年代は、着物を洋服に仕立て直す仕事が殺到。当時は女子の学生服の注文も多く、合格から入学までの数日で何着も仕上げねばならず、近所の女性に手伝ってもらいながら日付が変わるまでミシンを踏み続けたこともあったという。「夫と大げんかしても実家に帰れなかった。お客さんの依頼があったから」と笑いながら振り返る。

 現在、長女の勢津子さん(69)と一緒に店を切り盛り。商店街の人通りが減り、仕立ての仕事も少なくなったが、昔なじみの客の依頼が励みという。「『近藤さんが作ってくれた服は丁寧で一番いい』と言ってくれる。私の人生で何より幸せなことなんよ。お客さんがいる限り、これからも頑張りたい」。

最終更新:9/17(土) 22:02

山陽新聞デジタル