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三菱商事、ローソン子会社化で絶対に欠かせないこと

ニュースイッチ 9月17日(土)11時32分配信

顧客目線をどれだけ高く保てるかがより重要な要素に

 三菱商事がローソンを子会社化する方向で最終調整に入った。1日には、伊藤忠商事が約4割出資するファミリーマートが、ユニーグループ・ホールディングスと経営統合したばかり。“大手商社の代理戦争”とも言われる小売り事業。三菱商事が同事業の競争力強化を通じ、商社業界の盟主奪還につなげられるかという点でも注目される。

 商社は小売事業において、食品原料の供給から加工、物流、販売とサプライチェーンに対して自社の機能を提供し、収益に結びつけてきた。また消費者との接点を持つことでニーズを把握し、商品・サービス開発や海外展開につなげるという点から、各社は大手コンビニやスーパーマーケットに出資している。

 中でもコンビニは、食品販売から宅配便や公共サービスまで手がけ、日常生活に欠かせない「社会インフラの一つ」(三菱商事幹部)との位置付けで、今後も市場拡大を見込む。大手商社は、原油や石炭など資源価格の下落の影響を受け、2016年3月期決算で苦戦を強いられた。

 三菱商事は当期損益が創業以来初の赤字に転落。長らく維持してきた業界首位の座を伊藤忠に明け渡した。今後も資源分野は価格の早期回復が見込みにくく、インフラや機械、食料など資源以外の事業強化が待ったなしの状況だ。

 16年4月に始動した3カ年中期経営計画では、資源分野への投資残高を増やさない一方、非資源分野は自社で強みを発揮できる事業に投資する。また従来の事業投資にとどまらず、投資先の経営に積極的に関与し、企業価値を高める「事業経営」まで踏み込む方針を掲げている。今回のローソン子会社化の計画は、この方針にも合致する。

出遅れている海外展開を加速

 子会社化によって、考えられるシナジーがセブン―イレブン・ジャパンやファミリーマートに比べて出遅れている海外展開の加速だ。三菱商事の海外ネットワークを通じて、海外で現地パートナーの選定から商品メーカーや物流業者などを含めた“パッケージ”としてバリューチェーン全体を構築し、ローソンの海外進出を支援する。その点では、三菱商事が既にインドネシアでバリューチェーン構築の取り組みを進めており、その実績が大きな武器となりそうだ。

 三菱商事は同国で、小売業に強い現地財閥アルファグループと戦略提携を11年に締結。同社との合弁会社を通じて、製パンや製菓、飲料の製造事業を展開し、三菱商事は原料供給なども担っている。またアルファグループのネットワークを使い、ローソンも出店している。今後はインドネシア以外のアジアでも、こうした事業モデルをローソンを中心に展開する方針だ。

 商社業界の首位奪還に並々ならぬ意欲を燃やす三菱商事。16年4月に就任した垣内威彦社長は「業界トップを取り戻したら、二度と譲らない」と強い決意を語る。ローソンの成長とともに、自社の関連事業領域もいかに深掘りさせられるか。そのスピード感が、会社全体の成長のカギを握ることになりそうだ。

セブンーイレブンやアマゾンはなぜ成功したか

<解説>
 三菱商事は本質的にBtoB(法人顧客相手のビジネス)の会社だ。ローソンは言うまでもなくBtoC(個人顧客相手のビジネス)で、中でもコンビニは「C」の存在が極めて大きいビジネス。セブンーイレブンのこれまでの成功は、顧客目線による商品サービスの提供によるところが大きい。その積み重ねが、セブンーイレブンに対する好感度を高め、信頼につながっている。

 業態は違うが、米アマゾンも徹底した顧客目線で知られている企業である。三菱商事という人材豊富なBtoB企業が、ローソン経営で成果を上げるためには、三菱商事の豊かな資産を使うことも大切だが、顧客目線をどれだけ高く保てるかがより重要な要素となる。

最終更新:9月17日(土)11時32分

ニュースイッチ

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