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活躍!活躍!って言うけれど・・「女性の健康」に男目線の壁

ニュースイッチ 9/17(土) 15:45配信

「気づかない」社会、政策反映に課題

 国が女性の活躍を推進している。だが有識者からは、活躍の前提となるはずの健康について論じられることが少ないとの声が上がる。男性は女性特有の疾患の問題に気づきにくく、政策や医療の枠組みが男性視点のままになっている部分が大きい。一方、企業では女性の健康課題と向き合い、人材確保や経営の強化につなげようとする試みも出始めた。健康なくして女性の活躍なし―。この認識が広がることが期待される。

 「女性活躍推進において、健康という視点は全く認識されていない」。三菱総合研究所(東京都千代田区)の前田由美主席研究員はこう指摘する。4月に女性活躍推進法が施行され、優秀な取り組みをしている企業を国が評価する制度も始まった。厚生労働省の「えるぼし認定」は、労働時間の長さや女性の勤続年数、管理職に占める女性の割合などを基準とした。

 だが、同制度に健康に関連する指標はない。前田主席研究員によると、「女性が多い職場では管理職になることを更年期などの健康問題で自ら辞退する社員がいる」。にもかかわらず同制度では、女性の正社員や管理職が増えなければ認定が難しくなっている。

 「女性の健康課題を解決することは女性自身のみならず、日本経済および社会全体を利する」。これは在日米国商工会議所(ACCJ)と欧州ビジネス協会(EBC)が3月に公表した、「女性の健康と経済成長」という白書の一節だ。

 白書では、女性特有の健康問題が細かく検証されている。例えば、月経随伴症状による経済的負担は年間6800億円超におよび、そのうち72%が労働損失によるものだという。日本は乳がんや子宮頸がんの検診受診率が、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最低レベルであるとも指摘されている。

<アメリカでは検診が常識>

 「米国では女性検診は当たり前だが、日本ではオプション。この違いは大きい」。ACCJヘルスケア委員会のウィリアム・R・ビショップ委員長はこう話す。日本では、定期健康診断に女性特有の疾患の診断を意図した項目はない。

 人間ドックでも追加料金を払い、これらの項目を能動的に選ぶ必要があることが多い。企業や団体で働く多忙な女性は追加検診の必要性に思いが至らず、病気の把握が遅れてしまう可能性も考えられる。

 女性疾患の課題が認識されにくい背景には、「社会の仕組みが男性目線になっている」(三菱総研の前田主席研究員)ことがありそうだ。女性活躍を推進する政界や官公庁、企業の幹部はまだまだ男性が圧倒的に多い。

 「育児と仕事の両立をすれば何とかなるとの雰囲気が世の中にあるが、問題はそれだけではない」(同)。今後の政策立案にあたっては、女性でなければ分かりにくい事情をくむことが求められる。

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最終更新:9/17(土) 15:45

ニュースイッチ