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超過密状態、フィリピンの拘置所での生活を見る<1>

CNN.co.jp 9月17日(土)20時0分配信

フィリピン・マニラ首都圏(CNN) フィリピン首都マニラ近郊のケソン市にある拘置所。延べ床面積は約2800平方メートルとそれほど大きくない建物だが、この中に4000人以上の収容者がすし詰め状態で暮らしている。

看守によれば、拘置所は以前から満員状態だったが、最近になって収容者の数が急増した。批判者らはこの過密状態を、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が進める麻薬撲滅戦争の結果だと指摘。こうした現状を招くことは予想できたと批判する。

施設内の状況は驚きと言うほかない。利用可能なあらゆる空間に人々が詰め込まれている。このうち60%近くは麻薬関連の犯罪で収容された人々だ。マニラのうだるような暑さの中、座り込むなどしながら日々を過ごしている。

収容者の数は増加の一途をたどっている。今年初めの時点では収監者の数は3600人をわずかに下回る程度だった。ドゥテルテ氏が大統領に就任し、フィリピン国家警察のロナルド・デラロサ長官に麻薬一掃の任務を託してから7週間で、収監者数は4053人に増加した。

ケソン市拘置所は1953年に建設された。フィリピンの管理当局によると、当初は800人を収容する計画だったという。国連は、同拘置所に278人を上回る人数を収容するべきではないとしている。

看守はわずか20人。収容者の中には、裁判所に出廷することもないまま長年にわたり収監されている人もいる。デラロサ氏は以前CNNに対し、刑務所の犯罪者はとにかく体を押し込むべきだとジェスチャーを交えて述べていた。

収容者は朝5時に起床し点呼を受ける。老朽化した房室に4000人以上が詰め込まれている状況では点呼も大変な作業だ。

「外よりも拘置所内の方が安全」

同拘置所に入って1カ月になるアレックス・ベルトラン容疑者(29)は、ドゥテルテ大統領による取り締まりが原因で収容されたと語る。食事はひどく、寝る場所を見つけるのも難しい。拘置所内の生活は「新入りにとっては一段と厳しい」という。

ロメオ・ペイホイ容疑者(38)も新入りだ。当初は収容されるのが怖かったが、予想していたほど悪い環境ではなかった。「外よりも拘置所内の方が安全」「外では警官に殺される恐れがある」と話す。

同拘置所に入ってくる収容者の多くはギャング組織とつながりを持ち、「シゲシゲ・スプートニク」は935人、「コマンド」は386人の構成員が収容されている。一方、収容者の約4分の1はどの組織にも属していない。

こうしたギャングは拘置所内で強い影響力を持つ。おのおのが運営するセクションには同じ組織の構成員が自然と集まり、壁に色を塗って縄張りを誇示している。ただ看守によると、組織間の争いは実質的に停止しているという。

同拘置所の幹部であるジョーイ・ドギレス氏によると、収容者の多くは低額の保釈金を払う金銭的な余裕もない。取り締まり強化に向けた収容施設の準備を問われた警察トップは、麻薬の脅威があまりに大きいため施設を拡張している時間は当面なく、後で対応すると語った。

最終更新:9月18日(日)9時17分

CNN.co.jp