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現代版「短歌会」に学生夢中 SNSと親和性高く

神戸新聞NEXT 9月18日(日)13時1分配信

 大学生が自作の短歌を発表・批評しあう「大学短歌会」が近年、各地の大学で結成されている。2013年秋に発足した「神戸大学短歌会」は月数回、神戸大学(神戸市灘区)の学生らが「歌会」を開催。発表の場は当世らしく、会員制交流サイト(SNS)や、インターネット上で生中継される大学対抗の「歌合(うたあわせ)」などに広がり、現代語のみずみずしい短歌に注目が集まる。

 8月の夕方、同区内の会議室。神大短歌会の男女約10人で歌会が始まった。近隣大学の学生や卒業生の姿もある。同会代表で同大3年の奥野早輝子さん(22)が、メールで寄せられた参加者の短歌を詠み上げた。

 「あの子には 彼をとられる トイレット ペーパーさえも ピンクだったから」

 詠み手を明かさず、参加者同士で感想や疑問を言い合う。字余りの歌は、ピンク色のトイレットペーパーを使う「あの子」の“女子力”に、詠み手が危機感を覚える内容のようだが-。

 「家具じゃなくてトイレットペーパーっていう着眼点がいい」「きっと消臭剤はバラの香り」「詠み手と『あの子』は仲良し?」「『あの子』の家で鍋パーティーをして見ちゃった感じかな」

 凝縮された31音から空間や状況、関係性を読み解いていく。「詠み手自身が考えもしなかった詠み方をしてもらえ、歌会は想像力が広がる」と奥野さんは話す。

 同会は同大4年の陣内由希子さん(22)が1年生のときに、短文投稿サイト「ツイッター」でメンバーを募り結成。SNSで作品紹介や歌会の告知をするうち、参加者が増えたという。歌会や機関誌発行に加え、学外の歌会参加や短歌賞への応募など活動は幅広い。

     ◇

 大学生の間での短歌ブームは全国的だ。10年に大阪大学、12年に岡山大学、14年に同志社大学でそれぞれ短歌会が発足した。出版社の短歌賞には近年、大学短歌会の在籍者が多く名を連ねる。15年には月刊誌「短歌」を発行する角川文化振興財団(東京)の協賛で「大学短歌バトル」が初めて開かれ、予選に13短歌会が出場した。

 本戦では両チームの「方人(かたうど)」がお題に沿った歌を朗詠し、「念人(おもいびと)」が味方の歌を褒め相手の歌の欠点を指摘。歌人の佐々木幸綱さんら「判者(はんじゃ)」が勝敗を決めるという形式だ。その様子は動画サイトで生放送され、閲覧者は約1800人。歌の感想や解釈について7000以上のコメントが投稿された。

 神大短歌会も「バトル」に出場し、2年連続でベスト4に。同会を立ち上げた陣内さんは高校時代に短歌を作り始めたが当時は発表の場がなかった。「今は自分の短歌をたくさんの人に見てもらえ、いろんな短歌に出合えるのが楽しい」と話す。

 角川文化振興財団「短歌」編集部によると、戦後における若者の短歌ブームは、1950、90年代に続き2010年代で3度目。今回の流行の背景には、短歌とSNSの親和性があるという。

 31音の短詩という型と140文字の制限があるツイッターなどの短文投稿形式に加え、作品と歌評で成立する短歌と、「レス」や「いいね」で相互干渉するSNSの仕組みは似通う。「両者のあり方がマッチした」と石川一郎編集長は分析し、「将来や社会情勢への不安から表現へ駆り立てられた若者が、叙情詩としての短歌に出合ったのでは」とみる。

 インターネット上では、参加者を募って作品集をつくる試みなど、表現者のつながりが次々と誕生。「大喜利」に似せて笑いを誘うような気軽な短歌も日々詠まれ、個人のブログで発表されている。(金 慶順)

最終更新:9月18日(日)13時10分

神戸新聞NEXT

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