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<汚染土埋め替え>自治体が対応に苦慮…国、費用負担認めず

毎日新聞 9月18日(日)9時30分配信

 東京電力福島第1原発事故に伴う住宅除染で出た汚染土を庭などに埋設保管した後、増築などで住民が埋め替えを求めるケースが相次ぐ一方、国が費用負担を認めないため自治体が対応に苦慮している。中には他の除染費にこっそり上乗せして国に請求したり、除染業者に無償で埋め替えさせたりする自治体もあり、担当者らは「保管が長期化するほど要望は増える。国は早く費用負担を認めてほしい」と訴える。原発事故から5年半。事故処理の長期化によるひずみが表れた格好だ。【日野行介】

 ◇こっそり上乗せ請求も

 福島県内の住宅除染は、国が直轄する避難指示区域のほかは市町村が実施しており、その費用は県を通して国が負担し、最終的に東電に請求する。汚染土は将来的に双葉、大熊両町に整備中の中間貯蔵施設に運び込む予定だが、それまでは仮置き場や現場で保管。一方で、汚染土の埋め替えについては「今後の利用に支障のない場所を選んでいる」(環境省の「除染関係Q&A」)として、国は費用の請求を認めていない。

 しかし、事故から5年半がたち、住民が増改築や新築、駐車場整備などのため埋め替えを求めるケースが増加。主に現場保管している県内5市村のうち、福島市だけでも昨年度以降で約500件の要望があったという。汚染に住民の責任はない上、仮置き場には払われる借地料も現場保管では払っていないことなどから、自治体側は応じるしかないが、中間貯蔵施設の整備は遅れているため、同じ敷地内で埋め替えるほかない。

 問題は1件当たり数十万円とされる費用の負担だ。ある市では、埋め替え費用を同時期に行っている住宅除染の作業費にこっそり上乗せして県に請求しているという。担当者は「ちゃんと支払われている。おそらく県も分かっているのだろう」と明かす。だが、住宅除染は今年度中に終了する見通しで、来年度以降はこの手法を使えない。担当者は「国は早く埋め替えを認めてほしい」と漏らした。

 また、ある市では、業者の団体に依頼して無償で埋め替えさせることもあるという。ただ、その費用を別の作業に紛れ込ませて請求される可能性も考えられ、費用負担を巡る不透明さは拭えない。

 こうした事情からか、各自治体は埋め替えについて住民にほとんど周知していない。多くの担当者は「費用の手当てがないので積極的には知らせたくない」と打ち明ける。環境省福島環境再生事務所は「自治体からの(埋め替え費用を認めてほしいとの)要望は把握しており、検討はしている。これ以上は何とも言えない」と取材に回答した。

最終更新:9月18日(日)10時40分

毎日新聞