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<遠隔医療>スマホ経由の高血圧治療 実証実験開始

毎日新聞 9月18日(日)10時0分配信

 「IoT(モノのインターネット)」を活用した高血圧の患者に対する遠隔診療の安全性などを検証する実証研究を、ITベンチャー企業の「ポート」(東京都新宿区)と東京女子医大が共同で開始した。都市部でIoTを使った医療の効果に関するエビデンス(根拠)を国内で先駆けて蓄積することを目指す。遠隔診療が、従来の対面型の診療と比べ、より良い血圧コントロールができるかどうかや、医療経済上も効率的かどうかが注目される。

 ◇自宅で血圧を測定し、スマホのアプリで管理

 実証研究は2016年9月から19年3月まで。患者を遠隔診療による非対面型診療群と、従来の対面型診療群に無作為に分けて治療を開始。1年後に患者本人の希望により、その後の診療方法を非対面型か対面型か選択する。非対面型の場合、患者は近距離無線通信「ブルートゥース」を搭載した家庭用血圧計を使って自宅で週3回以上血圧を測定し、データをスマートフォンの専用アプリに転送して管理する。担当医は定期的にアプリで管理されたデータを参照して治療方針を決定。テレビ電話やチャット(文字による会話)などで診察し、薬を処方する。薬は院内処方で、患者の自宅まで郵送される。

 対象は東京女子医大病院高血圧・内分泌内科を定期的に受診中、または受診する意思がある患者で、非対面型の遠隔診療を希望する人。最初は全員、対面型で受診する。冠動脈疾患の既往があったり、糖尿病や慢性腎臓病などに罹患(りかん)していたりする患者は参加できない。研究を通じ、対面型の診療と同等またはそれに勝る効果が得られるかどうかや、適切な診察の間隔などを検証する。

 ◇病院の待ち時間解消で将来的に医療コストの削減効果も

 高血圧は脳卒中や心筋梗塞(こうそく)、大動脈瘤(りゅう)などの原因となる。日本の高血圧人口は約4300万人と推定されているが、このうち約半数は治療をしていないという。治療には長期間にわたる定期的な血圧のモニタリングが重要で、日本高血圧学会のガイドライン(14年)では特に家庭での血圧測定に基づく治療が重視されている。

 ポートがインターネットを通じて行った調査で、体に異常があるが受診しなかった、または受診が遅れた理由を尋ねたところ、仕事や学業を挙げた人が約3割いた。また、医療機関にかかるときのストレスを尋ねると、通院や病院の待ち時間と回答した人が圧倒的に多かった。遠隔診療による高血圧診療ができれば、病院に行く手間と時間が省けるため、今まで治療していなかった人が治療を受けるようになることで病気を予防でき、将来的に医療コストの削減効果も期待できると考えられている。

 ポートは15年11月、インターネットを通じて医師の診療行為を受けられる国内初の遠隔診療プラットフォームサービス「ポートメディカル」をスタートさせた。インターネット上で医師と患者をつなぐ役割を果たし、今年6月からは宮崎県日南市の市立中部病院と連携。同病院は山間部の無医師地区で行っていた巡回診療などを遠隔診療に移行している。今回の研究の背景には、医療環境が充実しているように思われる都市部でも、世代や生活パターンによってはその恩恵を受けにくいことがある。

 同社の春日博文CEO(最高経営責任者)は「医療における新しいエビデンスを作っていくことで、社会に貢献していきたい」と意欲を示す。同大高血圧・内分泌内科の市原淳弘教授は「都市部では働いていたり、子育てや介護で忙しかったりして病院にかかる時間が取れないという人が多い。そういった方々に安全かつ有効なサービスとして新たな診療形態を提示し、早期に医療を受ける機会を提供したい。そうすることによって、将来起きるかもしれない合併症の発症を未然に防ぎ、最終的に重篤な疾患を予防していけるのではないか」と話している。【医療プレミア編集部・鈴木敬子】

最終更新:9月18日(日)10時0分

毎日新聞

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