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「PCデポ」騒動が突きつけたもの--「将来解除(SK)」「トウゼンカード」

ZUU online 9/18(日) 10:40配信

パソコン販売・修理の「PC DEPOT(PCデポ)」が、認知症を患っている80歳過ぎの独居老人に、カスタマーサービスとして毎月1万5000円ものサポート契約を結ばせ、その解約に10万円もの契約解除料を支払わせた騒動。判明したきっかけは、その息子がTwitterに書き込んだことだった。

■背景には、PCデポという会社自体に組織的問題点

Twitterで一気に拡散するや、高齢者の無知につけ込込む悪徳ビジネスの存在が知れ渡るのだが、騒動はこれで終わりではなかった。契約の背景には、PCデポの会社自体に組織的問題があったことも明るみに出たのだ。

さらにはWebライターの ヨッピー氏が、当事者がPCデポを訪問する際に動向、その様子を含めてYahoo!個人に「PCデポ 高額解除料問題 大炎上の経緯とその背景」と題する記事を掲載、大きな反響を呼んだ。

PCデポは、パソコン販売と設定や修理のアフターサポートの充実が人気を呼び好調な業績を上げていた。しかし今回起きたこの問題は、「トウゼンカード」という月に一度提出が求められている従業員の成果目標をチェックする存在である。

成果目標とはいわばノルマのことであり、具体的な数値目標が記されていて、さらに「会員様思いとどまり平日/土日共通2件」という、契約解除に来たお客様を説得し思い留ませる目標値まで書かれているという。

店頭販売でも訪問販売に置いてもノルマがきつくなると、どうしても強引な販売手法を取るのが昔から同じパターンではあるが、PCデポの元社員や現役スタッフはツイッターでトウゼンカードが実質的なノルマであったと主張している。

■テレビ朝日のモーニングショー

騒動について12日放送のモーニングショーが独占取材を敢行し、現役のPCデポ従業員からの内部告発を引き出している。最初は罪悪感があったが次第に麻痺して意識も薄れていったと述べている。

さらに店舗によっては朝礼で、どの項目では何件取りますと言わされたという。それが達成できない場合には上司から呼び出され、取れなかった理由を言わされ圧力を受けるのだそうだ。会社側はこのトウゼンカードはあくまで目標でありノルマではないと説明している。

しかしこの説明には少し無理があり人事評価の20%ほどをこのトウゼンカードが占めるということからも「ノルマではない」とする説明はおかしい。こうした数値目標の存在が圧力となり、無知な高齢者につけ込み高額契約プランの押し売りへとつながったのだ。

■決して他人事ではない

今回の件は決して他人事ではないということを記しておきたい。そもそも金額こそ低いものの大手携帯会社も解約できる期間が限定されていたり、よく理解できないまま契約時に様々なサービスと一緒に契約されるという似たような事例はたくさんある。

今回の件を受け後手ではあるが、PCデポ側は「70歳以上の高齢者に対し3カ月以内の解除を無料とする」ことを公表した。こういった問題が起こっていることすら知らないで新しく契約する高齢者が存在するかもしれないし、身近な人が巻き込まれる事態は決して他人事とは言えないのだ。

PCデポでは今後、「社長直轄の300名体制のプロジェクトで教育、運用、管理監督の強化」すると公言してはいるが、そもそも論から言えば、一番の原因は「わかりづらい契約書の見直し」から改善する方が先なのではと思うがそこには触れていない。

契約書を良く見ないほうが悪いのか、これからは益々高齢化社会になって行く。PCやインターネットに詳しくなく内容を理解しないまま契約書にサインをしてしまう可能性も出てくる。つまりは詳しくない人ほど、問題を抱えることになるわけで知らないまま新しく契約する人の可能性は捨てきれるものではない。

■ケーズHDのバックアップで展開

PCデポは「ケーズデンキ」を経営するケーズホールディングスのバックアップで展開してき会社だ。そこで「家電量販店業界全体の体質と底辺部分でつながっている企業文化があるのでは」という声もある。さらに同社の野島隆久社長は家電量販店「ノジマ」を経営する株式会社ノジマ一族出身でもある。

結論的に言えば、両社の手法や体質に影響を受けている可能性はゼロではないだろうし、家電量販店業界全体を見渡せば、13年12月19日号の『週刊文春』で、ヤマダ電機のブラック企業ぶりが明らかになり、ワーストに選ばれている。

どの家電量販店も売り上げ至上主義で従業員をしばり、過剰な圧迫のもとで店舗経営がなされてきていることは、今さらの感があるが、従業員が置かれている高ストレス環境の職場は日常的に行われていることは想像が付く。

■「将来解除」を略して「SK」

さらにPCデポでは早期解約の事を「将来解除」を略して「SK」と呼ぶそうだ。解約をしに来た顧客をなだめて解約させないようにしたり、値段を下げた契約を新しく結ばたりといった手法で、なんとかして契約を続けさせる人を「SK担当」と呼んでいるそうだ。

マニュアルも存在し早期解約を求める顧客を想定した完璧さで、契約者が内容を把握できない高齢者であっても契約を強引に結ぶやり方は批判にさらされて当然だ。たとえ一店員がやった行為であっても、やはり会社側に組織としての責任がなかったとは言えないだろう。(ZUU online 編集部)

最終更新:9/18(日) 10:40

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