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夢掴んだ“ガテン系”ラガーマン 副島選手、コカ・コーラ入り

産経新聞 9月18日(日)7時55分配信

 リオデジャネイロ五輪男子7人制ラグビーに日本代表として出場した副島亀里(そえじま・かめり)ララボウラティアナラ選手(33)が、国内最高峰のトップリーグ(TL)入りを果たした。フィジーから来日して7年。工事現場で働きながら、TL入りを目指した苦労人は、コカ・コーラレッドスパークスとのプロ契約をつかみ取った。(九州総局 奥原慎平)

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 8月9日、リオで日本代表は強豪ニュージーランドとの初戦を迎えた。

 7-12とリードされ、試合終了まで残り1分。副島選手は球を受け取ると、189センチ、94キロの体格を生かし、大きな歩幅でゴールラインに走り込み、同点トライを決めた。キックによる得点も加わり、日本は逆転勝利を果たした。

 日本として、昨年9月のワールドカップ(W杯)南アフリカ戦に続く大金星だった。

 五輪で4位入賞を果たした日本代表チームには、TLの選手が並ぶ。副島選手だけがクラブチーム所属だった。

 副島選手は、ラグビーが盛んなフィジー出身だ。5歳の頃に競技を始め、同国マクアタ州の選抜チームにも入った。

 来日のきっかけは結婚だった。青年海外協力隊の理学療法士として、フィジーの病院で働いていた彩さんと恋に落ち、平成21年に日本の土を踏んだ。

 彩さんの父の知り合いを通じ、佐賀市の道路舗装会社の社員として、働きだした。

 振動でアスファルトを締め固める機械「ランマー」を使いこなす。「道路はみんなに使われるし、きれいな道になる」とやりがいを感じた。それでも、海外の有名選手も加入するTLの存在を、常に意識していた。

 彩さんのすすめで、TL入りを見据えて、福岡市のクラブチーム「玄海タンガロア」に入った。

 玄海の練習は週に数日しかない。練習のない日は、仕事を終えると、走り込みやジム通いを繰り返した。佐賀県内の強豪高校の練習にも混じって汗を流した。

 TLには外国籍を持つ選手の出場は同時に3人までという枠がある。これが障壁になると考え、25年5月には帰化した。

 だが、声はかからなかった。入団選考会(トライアウト)も受けたが、不合格が続いた。焦りが募った。

 転機は26年に訪れた。長崎国体に佐賀県チームの選手として出場した。トライを量産し、チームを初優勝に導き、最優秀選手に輝いた。同年12月、7人制の日本代表入りを果たした。

 今年1月から会社を休職し、五輪に備えた。

 リオでの活躍が、コカ・コーラレッドスパークスのの目にとまった。

 凱旋(がいせん)帰国から数日後、レッドスパークスの担当者から、入団を求める電話が副島選手にあった。本人以上に妻の彩さんが喜んだ。数十分間、信じられなかったという。

 実は副島選手は、レッドスパークスの入団テストにこれまで3回挑戦していた。

 リクルート担当の西村将充氏は「国際舞台でよい経験をしたのだろう。入団テストの時より、一回りたくましくなった。『フィジアン』らしいステップが発揮できれば、相手チームの脅威になる」と期待する。

 入団は登録締め切りの8月末ぎりぎりだった。すでにパンフレットや選手名鑑は完成しており、副島選手の名前はない。

 副島選手は「いい意味で“ショック”だった。何度もあきらめかけた。支えてくれた家族や地域の人がいてこそ。チームに貢献して、自分のできることを、すべてやりきる」と語った。

 副島選手は今、懸命に15人制ラグビーのプレー勘を取り戻そうとしている。18日午後6時から、「さわやかスポーツ広場」(福岡市東区)で行われる神戸製鋼コベルコスティーラーズとの練習試合に先発出場する予定だ。

最終更新:9月18日(日)7時55分

産経新聞