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<渡辺謙>映画「怒り」を語る 怒りの正体は「自分の心の問題」

まんたんウェブ 9月18日(日)19時25分配信

 映画「悪人」(2010年)の原作者、吉田修一さんと李相日(リ・サンイル)監督が再びタッグを組み、俳優の渡辺謙さんら豪華キャストが出演する群像劇映画「怒り」が17日に公開された。ある殺人事件の犯人が、顔を整形し逃亡を続ける中、千葉、東京、沖縄に素性の知れない3人の若者が現れる……。3人とその3人にそれぞれ関わった人々が、大きなうねりに巻き込まれる姿を描いている。“千葉編”に出演した主演の渡辺さんに話を聞いた。

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 ◇悩みを吹っ切らせた原作者の言葉

 渡辺さんは、8年前に妻を亡くして以来、男手一つで娘を育てながら漁協組合で働く男、槙洋平を演じた。渡辺さんは洋平について「何かを決断したり、能動的に動いたりせず、もぐらやどじょうのように、ずっと土の中にいてもがいているような男」と表現する。それだけに、その人物像の輪郭を「どういうふうに作っていけばいいのかがすごく難しく」、また物語が千葉編、東京編、沖縄編と独立する中で洋平としての“立ち位置”を、「最終的には、どうしたら収まりがつくんだろうと悩んでいた」という。そんな渡辺さんを吹っ切らせたのが、原作者、吉田さんの言葉だった。渡辺さんはそのときのことを次のように振り返る。

 「吉田さんが原作を書いたとき、この話をどういうふうに終わらせるか悩まれたそうです。それぞれがまったく関わりもないし、お互いに全然面識もないのだけれど、東京編も沖縄編も千葉編も、そこに出てくるいろんな人たちの思いとか悩みや苦しみを、槙洋平が全部引き受けてくれるのではないか、そういうふうに書いたとおっしゃったんです」

 その吉田さんの言葉を聞いたとき渡辺さんは、「あ、そういうことなのか。単に、娘がどうこうということではなく、最後にみんなのいろんな思い、苦しみや、悩んだり傷ついたりしたことを、全部引き受ければいいんだと思った」という。ただし、あくまで「引き受ける」のであって、「背負う」のではない。「背負えるほどの心じゃないんですよ。“背負う”というのは、ある種のレスポンシビリティー(責任)を持つわけじゃないですか。そうではなくて、とにかく“引き受ける”。僕はそう思っているんです」と両者の微妙な違いすらおざなりにしないところに、渡辺さんの役者魂がのぞく。

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最終更新:9月18日(日)20時43分

まんたんウェブ