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ロシア下院選 「反プーチン党」13年ぶり議席は? 強権容認の有権者に民主主義届くか

産経新聞 9月18日(日)7時55分配信

 18日投票のロシア下院選で、プーチン大統領を批判しているほぼ唯一の政党がある。欧州型の社会民主主義を志向するリベラル政党「ヤブロコ」だ。「大統領と政府、下院の誤った政策が経済を窒息させている」と訴え、2014年のウクライナ南部クリミア半島併合を「国際法違反だ」と断じる。この政党が、13年ぶりに下院に議席を得られるかが注目されている。(モスクワ 遠藤良介)

 「将来のロシア大統領」。そんな呼び込みで会場に現れた党創始者のヤブリンスキー氏(64)は、若者を中心とする約70人の運動員から大きな拍手で迎えられた。14日、モスクワ中心部にあるヤブロコの市選対本部。「最大の敵は有権者の無関心だ」とげきを飛ばした同氏は、「下院に通ったらまず、(第3次プーチン政権下でできた)弾圧的な法律を撤廃させたい」と力を込めた。

 今回の選挙は11年12月の前回と同様、下院に議席を有する政権与党「統一ロシア」と、共産党など3つの「親大統領野党」が主要プレーヤー。その中でヤブロコは、プーチン政権のウクライナ介入や軍拡を批判し、保健・医療や教育に比重を置いた改革を訴える。

 しかし、ヤブロコは03年以降、得票率制限に阻まれ下院での議席を得られずにきた。政治学者のマカルキン氏(45)は不人気の理由として、「(ソ連崩壊後の)1990年代の改革や、欧州接近路線に対する有権者の失望」を挙げる。

 90年代、国民は「欧州のような生活」を望んで民主化や改革を支持したが、急進的な市場経済化がもたらしたのは、大混乱や貧富の差の驚異的な拡大だった。2000年に大統領に就いたプーチン氏が、安定や秩序、大国の再興などに主軸を置くと、それまでのリベラル層ですら強権統治を容認していった。

 ソ連時代と違って一定の自由が享受でき、00年代の高度成長期を経たこともあり、多くの国民はヤブロコが唱えるほどには民主主義や改革の必要性を感じていない。政権が欧米を敵視し、リベラル派をその手先とするプロパガンダ(政治宣伝)を強めたことも追い打ちとなった。

 しかし、今回の下院選ではヤブロコにも議席獲得の望みが出ている。前回の下院選後、モスクワでは「選挙不正」に抗議する大規模デモが起き、政権は“融和策”として得票率制限を7%から5%に引き下げた。従来、リベラル陣営は内部対立で自らの首を絞めてきたが、今回は何人かの有力政治家がヤブロコに合流した。欧米の対露制裁などによる経済悪化もある。

 マカルキン氏は、ヤブロコの選挙結果に関係なく、当面は「保守」の潮流が支配的であり続けると指摘。その一方で「ロシアは、世論が急激に変わりうる国でもある」と力説し、次のように述べた。

 「1917年に入ってもレーニンはロシア革命を想定していなかった。ソ連時代の反体制派の支柱、サハロフ博士は80年代の数年間で、『裏切り者』から『英雄』に変わったのだ」

最終更新:9月18日(日)8時10分

産経新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。