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<パラ陸上>「浮いた感覚がした」山本篤、走り幅跳び銀

毎日新聞 9月18日(日)21時42分配信

 リオデジャネイロ・パラリンピックは第11日の17日、陸上男子走り幅跳び(切断などT42)があり、山本篤(スズキ浜松AC)が6メートル62で銀メダルを獲得。

 滞空時間が長く、高々と舞い上がる跳躍が魅力の山本が4回目に自己ベストに並ぶ6メートル62を跳んだ。助走を跳躍に生かすことをテーマにしてきた山本はこの瞬間「浮いた感覚がした」という。金メダルのポポフに8センチ届かなかったが、義足を使いこなすことを追求してきた34歳は進化を続けていた。

 山本は腰を痛めた状態で5月に6メートル56の世界記録を打ち出した。それを6月に6メートル70を跳んで塗り替えたワグナー(デンマーク)は銅メダル。さらに8月に6メートル77を跳んで上回った現世界記録保持者のポポフは1回目に6メートル70を跳んだ。山本は頂点にこそ届かなかったが、トップ3に世界記録誕生の可能性があった次元の高い争いを演じていた。

 バイク事故で高校2年の時に左脚を切断した山本は義肢装具士の資格を持ち、その構造にも見識がある。企業と共同で義足の先端部分にある板バネの開発・改良を行い、国産用のスポーツ義足作りを進めるメーカーのモニターテストなども積極的に受けている。カーボン製の義足のみに体重を委ねるのは難しいが、義足で踏み切ることで記録を伸ばしてきた山本は「技量と義足がたわむタイミングさえ分かれば怖くない。『たわみ』を最大限に生かすことが大切だ」と説明する。

 「用具頼み」ととらえられがちだが、国際パラリンピック委員会の陸上部門の技術委員である三井利仁さん(日本パラ陸上競技連盟理事長)は「バネの力ばかりではなく、より健常の足に近い動きを研究している」と語る。踏み切るまでの加速、キック力。三井さんは「肉体、戦術、道具が兼ね備わった時に記録は生まれる」という。「金を目指してやってきたので悔しいです」と山本。さらに高みを目指していく。【岩壁峻】

最終更新:9月18日(日)22時17分

毎日新聞