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藤竜也 後悔したくない――だから本番行為も演じたし、毎晩妻と握手する

スポニチアネックス 9月18日(日)10時17分配信

 来年デビュー55年を迎える俳優の藤竜也(75)。渋さと独特の色気が魅力で、若い頃は危険な香りを漂わせてアクション映画のヤクザ役などで活躍し、近年は家族から邪魔者にされる父親など実年齢と同年代の役どころも硬軟自在に演じている。元日活女優の芦川いづみさん(80)との結婚生活は48年。夫婦円満の秘けつも語った。

 白いシャツが映える日焼けした肌。「これね、ウオーキング焼け」と笑顔で種明かし。週に3、4日、通っている都内のスポーツクラブを起点に近くの公園を回って11キロほど歩くという。「真夏も平気で行くから、クラブの人たちに“どうぞご無事で”って送り出される。暴走老人と言われてます」と意気軒高だ。

 先月27日に75歳の誕生日を迎えた。ジーンズをはきこなすダンディーさから年齢は感じさせないが、「老いは毎日感じます。当たり前だけど、残されてる時間が若者よりずっと短くて、指で数えられるほど。一日一日を大事にしないと」としみじみ。

 映画でも近年は老いに直面する役が増えた。昨年は「龍三と七人の子分たち」で、オレオレ詐欺に引っかかり世直しに立ち上がる元ヤクザの組長を演じた。10月8日公開の「お父さんと伊藤さん」では、息子夫婦の家を追い出され、20歳上の恋人(リリー・フランキー)と同棲している娘(上野樹里)の家に転がり込む父親役。元教師で頑固者だが、行き場をなくした父親の悲哀を体現している。「役と同い年だし、老人になるとああいうシチュエーションになる人も少なくない。痛みやわびしさ、悲しさは老いと共にみんなが持っているものだから、凄く想像しやすい」

 撮影前には、演じた役の出身地として描かれている長野県を泊まりがけで訪問。小学校を訪れ、昔の校舎の写真を見せてもらうなどした。「彼のふるさとで青年時代までをたどってみたんです。どんな景色を見て、どんなものが目に映ったのかを見たくて」と役作りに余念がない。

 どの作品でも、できる限り役に関連する場所を訪れる。「どの程度効果があるのかは自分でも分からないけど、できるだけのことをやっておくと安心だからね」

 横浜で育ち、少年時代は船乗りに憧れていた。大学在学中、当時の恋人と銀座で待ち合わせしていた時にスカウトされ日活に入社。「将来何をやるか全然考えてなかった。ぼけっとした青年が五十数年も俳優で食ってるんだから、本当にありがたい奇跡です」

 代表作の「愛のコリーダ」が公開されたのは、ちょうど40年前。大島渚監督が戦前の猟奇事件を題材に男女の究極の愛欲を描き、世界的に高い評価を受けた傑作。一方、大胆な性描写が「芸術かわいせつか」を巡る裁判闘争に発展した。

 「台本を読んだ時に凄くいいラブストーリーだと思ったの。セックスシーンがずっとあるのにピュアな男と女の情愛を感じて、大島さんのユニークな切り口やチャレンジ精神にこれはやるべきだと思った。後に起こりうる社会的な反響にビビって断ったら、一生後悔すると思ったんです」

 波紋は大きく、2年間仕事を干されたが「毀誉褒貶(きよほうへん)のある作品だし、俗に言う“本番”をやったというレッテルを僕には貼られてるだろうけど、何の後悔もない」と言い切る。俳優としての転換点となり「俳優は基本的に自分の肉体を使って人間やキャラクターを表現するけど、普通、自分のお○んちんまでは使わないよね。そこまで見せちゃったっていう開き直りもある。もう怖いものはねえやって」と笑った。

 私生活では1968年、日活の看板女優だった芦川さんと結婚。人気絶頂の芦川さんが結婚を機に女優業を引退したのも大きな話題になった。これまで陶芸など同じ趣味に取り組み、夫婦仲は円満で、その秘けつは「やっぱり好きだっていうこと。向こうが俺を好きかどうかは知らないけど」と直球だ。

 妻への愛情表現は「アイラブユーって言うのは簡単だけど、日本語だとなかなかね」と照れながら、「半年以上前から、寝る前に握手するようになりました。明日の朝無事に2人とも起きてこられるか分からないから、一日が終わって握手しておけば、いつ起きてこなくても“しておいてよかった”と思える」と明かした。金婚式目前だが「家内にはモテてると信じたい」と語る顔はチャーミングで、ピュアな思いが伝わってきた。

 ◆藤 竜也(ふじ・たつや) 本名伊藤龍也。1941年(昭16)8月27日、中国・北京生まれ、横浜育ちの75歳。日大芸術学部演劇学科在学中にスカウトされ日活に入社。1962年に映画「望郷の海」でデビュー。「野良猫ロック」シリーズなどアクション俳優として活躍し、73年のTBSドラマ「時間ですよ」では謎の男を演じお茶の間でも人気。その他の出演作は映画「アカルイミライ」、テレビ朝日「はじめまして、愛しています。」など。1メートル73、63キロ。

最終更新:9月18日(日)10時43分

スポニチアネックス

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。