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東京五輪 復興の象徴か?それとも単なる費用節約か?野球・ソフトのフクシマ開催に異論も

産経新聞 9月18日(日)16時45分配信

 2020年東京五輪の追加種目に決まった野球・ソフトボールの試合が福島県で開催されるプランが現実味を帯び始めている。現時点ではメインの会場を横浜スタジアムとすることが固まっているが、関係者によると、福島県内で野球、ソフトボールの1次リーグそれぞれ1試合ずつを実施する方向で調整しているという。その中に、日本の試合が含まれている情報もある。

 組織委員会は「復興五輪」の名の下、開催に積極的とされ、遠藤利明五輪相(当時)が組織委の森喜朗会長に要望。すでに、あずま球場(福島市)、開成山球場(郡山市)、いわきグリーンスタジアム(いわき市)と候補も挙がっているとされる。

 地元自治体も熱心だ。8月23日には自民党福島県連幹部が丸川珠代五輪相と都内で会談し、同県内での開催を要望。同31日に福島県の内堀雅雄知事が森会長に開催を訴えれば、9月9日にはいわき市の清水敏男市長が近隣8町村の首長と連名で、いわきグリーンスタジアムでの実施を求める要望書を大会組織委の森会長と水落敏栄文部科学・内閣府副大臣に提出した。

 もっとも、なぜ、野球とソフトボールが福島で開催?という疑問が出てくるが、すでに他の競技は会場が決まっている。追加種目は8月に正式に決まったばかりで、12月の国際オリンピック委員会で会場が了承を得る理由もある。野球・ソフトボールは世界的な注目度はともかく、国内の注目度はある。

 サッカーは、東京近郊だけでなく、札幌ドームや宮城スタジアムでも試合が開催されることが決まっている。リオ五輪でもそうだったように、サッカーでは開催都市以外での開催は一般的。しかし、野球に関しては過去、一都市での開催が通例で遠隔地での開催は異例だ。

 当然、選手らは横浜からの長距離移動を強いられ、体力面の負担が大きくなる。球場の改修費などをどうするか、などの問題もある。経費がかさみ、遠隔地での開催は「コンパクト五輪」という大会のコンセプトに反するのも面がある。そもそもの開催費用は招致段階では7340億円だったが、「2兆円」にも膨れあがると言われているだけに、今後、“待った”がかかる可能性は否定できない。

 海外からは、原発を不安視する声も出始めている。韓国の中央日報(日本語版)は「このような計画(野球の福島開催)は福島の安全性を広報するためだが、(中略)計画が実現化するかはまだ未知数だ。福島地域が放射能汚染でまだ安全ではないという認識が払拭されていないためだ」などとする記事を掲載した。

 そもそも論として、野球は6チームしか出場できず、果たして真の世界一を決める大会になり得るのか、という疑問の声は根強い。出場チームの半数の3チームがメダルを獲得でき、他競技に比べ公平性が担保できないのも事実だ。

 さらには出場国・地域をどう振り分けるのかも課題だ。野球の強国が台湾、韓国など東アジアや米国、カナダ、キューバ、ドミニカ共和国など北中米に偏っている。地域のバランスを考え、アフリカや欧州のチームも参加させようとすると、強国が参加できない事態も生じる。米大リーグは派遣しない可能性が高く、競技レベルにも疑問符がついている。

 復興のシンボルとして福島で開催される意義は大きい。だが、クリアすべき課題は山積している。野球を実施競技に復帰させたことで、今後、組織委員会は難しい判断を迫られることになる。

最終更新:9月18日(日)16時50分

産経新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。