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飛田新地の内幕 密やかに続く“遊郭”に中国の影…元料亭経営者、内実を赤裸々に

産経新聞 9月20日(火)17時0分配信

 現代の残る“遊郭”とも称される大阪市西成区の通称「飛田新地」。大小約160の料亭が集まり、料亭の玄関には、妙齢の女性が座る。表向きは自由な恋愛、実質的には半ば公然と売買春が行われているとされる場所だが、その内幕を明らかにした書物は少ない。このほど、『飛田をめざす者』(徳間書店)を出版した元料亭経営者の男性から話を聞いた。

 飛田新地の料亭のオーナーは「親方」と呼ばれる。著者の杉坂圭介さんは50代の男性。執筆の動機は「売られてきた女性が働かされているとか、ヤクザが絡んでいるとか、いわれのない悪評を払拭したかったから。僕なりの奮闘も記したかった」。本名も年齢も明らかでないが、徳間書店の担当編集者は「内容についてはほぼ事実」と太鼓判を押す。

 杉坂さんによると、知人の紹介で約10年間、「親方」として料亭の経営に携わった。その後は、働き手となる女性を料亭に紹介するスカウトとなり、昨年9月からは再度、料亭の親方に。現在はまた、スカウトに戻ったという。

 著書では、飛田での遊び方のシステムが詳細に語られる。15分1万1000円、20分1万6000円、1時間4万1000円など、店頭の駆け引きは多少はあるが、その明朗会計ぶりが明かされる。取り分は50%が接客する女性、10%が「オバちゃん」と呼ばれる客引きの女性だ。

 飛田で働く女性は、自由意思が大原則だ。しかし、辞めるに辞められなくなるケースがほとんどという。「最初は、借金を返そうとか、これだけ貯めたら辞めようと思って入ってくるみたいだけど、その日その日に何万円も現金を手にするようになると、自然と金遣いが荒くなる。普通の勤めだと、働き始めて1カ月しないと給料が入ってこない。それに我慢できず、結局、抜けられなくなる」と話す。

 そのほか、インタビューの中で、元「親方」は、親の意向で働かされ、収入のほぼすべてを親に渡す女性の一例や、ホスト、恋人に貢ぐ恋愛依存症的なケースは少なからずあると話した。また、精神的に不安定な女性もいて、リストカットなども比較的頻繁に起きているという。

 飛田新地には、大正期に設置された遊郭で、昭和32年に売春が違法になってからも「料亭」として残り、当時の雰囲気を色濃く残す。飛田が残った理由として、杉坂さんは「未成年は働かせない。暴力団とは関係しないなど、秩序を保ってきたから」とする。

 一方で、気になる外国人観光客に対する記述だ。

 要約すると、〈中国で売られている日本の観光ガイドブックに、飛田が紹介されてるらしく、中国人観光客を専門に扱っているという旅行代理店から「そちらの店と契約を結んで、うまくやっていきたいんだけど」と打診があった。「お客には30分4万円というから2万円をバックしてくれ」という。その時は即断ったが、これだけ日本人のお客さんが減ってきたとなると、飛田は中国だけでなく外国人観光客を受け入れていかない状況になっているといえる〉

 これは杉坂さん個人の考えであって、飛田全体の考えではない。しかし、人口減少と不況下の中でこう考える風俗店経営者がいても不思議ではないのだろう。

 外国人観光客の誘致は、日本経済の活性化のための国策だ。アジア各国に対するビザ免除や要件緩和により、2015年の訪日外国人数は、前年比47・1%増の1974万人と過去最高を更新した。

 外国人観光客が増えるのはいい。日本をよく知ってもらう機会にもなる。しかし、風俗店の利用を目的にした観光客が増えるのはいかがなものだろう。売春防止法では「何人も売春をし、又はその相手方となってはならない」とある。場所の提供も勧誘も刑事処分の対象だ。タテマエとホンネの曖昧模糊とした運用が外国人に通用するのか。観光立国を目指した結果、売買春に寛容な国という風評が立たねばいいが…。そんな懸念がよぎった。(村島有紀)

最終更新:9月21日(水)9時1分

産経新聞

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