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レイプ被害と、それを誰にも言えない苦しみ 映画監督はなぜ「リアル」を追求したのか

BuzzFeed Japan 9/18(日) 6:00配信

語られる機会の少ないレイプ被害。その深刻さを描いた映画『月光』が、話題を呼んでいる。映画では、主人公カオリが知人男性にレイプされるシーンが、繰り返し繰り返し描かれる。【BuzzFeed Japan / 山光瑛美、渡辺一樹】

誰の助けも呼べない山中。車の後部座席で、のしかかってきた男の上半身。男の激しい息遣い。身体中にできたあざ。ボロボロのタイツ。ヒールが片足しかない状態で置き去りにされた。

カオリは被害を誰にも告げず、何もなかったかのように元の生活に戻ろうとする。だが、被害の記憶は、何気ないことがきっかけでフラッシュバックし、頭の中に蘇る。コンクリートの上で響くヒールの音。歩いて近づいてくる男性。薄暗くあたりを照らす月の光……。
なぜ、こんなにリアルに性暴力を描いたのか。そして、主人公カオリが苦しみを一人で抱え込んでしまったわけは……。BuzzFeed Newsは小澤雅人監督に話を聞いた。

性虐待された子どもたちとの出会い

小澤監督が性暴力を描こうとした直接のきっかけは、取材のために児童養護施設を訪れた時に感じた衝撃だった。数多くの子どもたちが、性虐待を受けていることを知った。

「 施設では『セイギャク』と略して話されているぐらい、それが日常化していることに驚きました。その時まで、そういう子がたくさんいることは想像できませんでした」

「レイプ神話」とは?

小澤監督は、彼女たちが受けた性暴力を忠実に描こうと思い、リサーチを始めた。

「当事者の方に話を聞いたり、被害者の日記や手記を片っ端から集めて読んだり。理解するところから始めました。適当なものではなく、現実に近いことを描かないといけない。 特に、いわゆるレイプ神話は描かないよう、責任感を持って取り組みました」

「レイプ神話」とは何か。

レイプが起きると、被害者をとがめる声が、あちこちから聞こえてくる。

例えば、被害者が夜道を一人で歩いていなければ、被害を避けられたはずだ。もし十分に抵抗していれば、逃げられたのではないか……。

レイプといえば突然知らない暴漢に襲われる、というイメージも神話の一つだ。

「実は顔見知りの犯行が多い。関係性を利用して、迫ってくる。逆にそうやって狭い関係の中だからこそ、被害にあったことを言えない。そして、当事者が言わないため、事件化されていない」

警察庁の統計によると、レイプ被害者の過半数は加害者と面識がある。うち半数は、知人や友人だという。

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最終更新:9/18(日) 6:00

BuzzFeed Japan

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。