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「ペットと避難」周知進まず ためらう住民相次ぐ 北海道内の豪雨災害

北海道新聞 9月18日(日)7時30分配信

 北海道内を襲った一連の豪雨災害では、避難所でペットを飼うのが不安との理由から、避難をためらう住民が相次いだ。国は災害時、飼い主にペットと一緒に避難する「同行避難」を求め、自治体には避難所でのペットの取り扱いルールを防災計画に盛り込むよう促すが、周知や取り組みは遅れている。専門家は「災害時は人命が最優先され、ペット問題は後回しになりがちだが、避難の際の混乱を避けるためにも重要な課題だ」と指摘する。

「飼い主は日頃から準備を」

 「犬と一緒では避難所の人に迷惑がかかると思った」。十勝管内新得町の男性(76)は8月末、台風10号に伴う大雨で避難指示が出たが、自宅を離れなかった。犬と「2人暮らし」。家族と同じと思うだけに、避難先に迷惑をかけることも、慣れない避難所を犬が嫌がることも忍びなかった。「避難指示には従わなければと思うが、したくてもできなかった」と話す。

 男性が住む町内会では、「犬がいるから」という同様の理由で避難しなかった人が6世帯9人いた。同管内清水町で行方不明になっている男性は、親族によると、「犬が心配だ」と自宅にとどまっていたという。

 2011年の東日本大震災時、置き去りにされたペットが野犬になったり餓死する問題が起こり、環境省は13年、大規模災害時に同行避難を求める「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成。自治体に対し、他の避難者に配慮した避難所の受け入れ態勢を整えるなど、防災計画にペットの管理について盛り込み、住民にも知らせるよう呼び掛けている。

 だが、同省が15年に行った調査では、防災計画にペットの取り扱いを明記した道内自治体は71市町村と全体の4割にとどまる。

 浸水被害を受けた新得町も、防災計画にペットの取り扱いを載せていない。町担当は「飼い主の災害時への備えや対応方法を計画に盛り込み、広報することも考えたい」と話す。

 町内の避難所ではペット連れで避難するケースがあったが、ペットは施設の外で生活。震災後、町民からの要望もあり、町はペットが入れる避難所の設置も検討する予定だ。

 ただ、避難所ではペットが原因でトラブルになる例もある。4月に発生した熊本地震など、災害時にはこれまでにも、避難所に連れてきたペットの鳴き声や臭いをめぐり、避難者同士のトラブルが起きている。

 避難所には動物が嫌いな人や、アレルギー体質の人もいる。「もしも」の時のトラブルを防ぐためにも、札幌市内で動物病院を開く北海道獣医師会の高橋徹会長(68)は「飼い主がペットを家族の一員と思うなら、日ごろから『待て』や『良し』など基本的なしつけを行い、非常時の避難生活が送れるよう準備をすべきだ。行政も飼い主に徹底して呼び掛けてほしい」と話している。

北海道新聞

最終更新:9月18日(日)7時30分

北海道新聞