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布石を打ったリオでの戦い<車椅子バスケットボール>

カンパラプレス 9月18日(日)7時3分配信

 リオパラリンピックの大会9日目にあたる15日、車椅子バスケットボール男子の9、10位決定戦が行われ、日本は同じアジア勢のイランを65-52で下し、ロンドン大会と同じ9位となった。グループリーグは1勝4敗に終わり、決勝トーナメントに進出することができず、「6位以内」という目標には到達しなかった日本。しかし、チームとして危機的状況に何度も襲われながら、誰一人一度も下を向くことがなかった。そこにはチーム全員が共有する「信念」があった。

まさかの3連敗で予選敗退

「崩壊」――思わず、そんな言葉が頭に浮かんでくるほど、今大会の前半、日本には予想以上の大きな壁が立ちはだかった。

「初戦のトルコ戦にピークを持っていき、白星発進で勢いをつける」
 それが開幕前に及川晋平ヘッドコーチ(HC)が口にしていた、今大会のプランだった。しかし、結果は49-65で黒星スタートとなった。

 決して勝てない試合ではなかった。ヨーロッパチャンピオンシップ2位のトルコに為す術がなかったわけではない。その証拠に、第1クオーターは16-18と互角に渡り合っており、その後最大10点差をつけられたが、第3クオーターにはキャプテン藤本怜央のシュートが高い確率で入り始め、3点差にまで詰め寄っている。

 だが、日本が本当にやりたいバスケができていたかというと、そうではなかったように感じられた。日本が掲げた「全員バスケ」とは、主力のユニット1(5人の組み合わせ)で流れを引き寄せ、そこにトランジションの速さが武器であるユニット5など、ベンチメンバーをうまく絡ませていくことで、リズムに変化をもたせ、相手にアジャストさせ辛くする。と同時に、全員で負担をシェアすることで、ここぞという時にフレッシュな状態で主力を投入させる、という展開を理想としていた。

 しかし、ダブルエースの一人である香西宏昭が厳しいマークにあったことで、シュートの確率が普段では考えられないほど低くなり、その他の選手もトルコの高さとリーチの長さに苦戦し、それを埋めるだけの攻撃をすることができなかった。ただ一人、藤本が絶好調だったとはいえ、それだけで勝てる相手ではない。結局、ユニット1で流れを引き寄せられなかったことで、ベンチメンバーの起用は非常に難しい状況となったと言わざるを得ない試合内容となった。

 第2戦のスペイン戦では、第1クオーターは日本がリードを奪い、幸先いいスタートを切ったかに見えた。しかし、実際はそうではなかった。残り1分、日本が11-6とリードしている時点で、及川HCはユニット5を投入した。「最低でもプラマイゼロ」がミッションであるユニット5は、そこを無失点に抑えなければならなかったはずだった。しかし、残り2秒で失点を喫し、11-8で第1クオーターを終えている。これが後の選手起用に大きく響いた気がしてならない。実際、第2クオーターは石川丈則が途中出場した以外は、スタメンで戦い続けた。

 2試合合わせてスタメン以外での得点は、スペイン戦での鳥海連志のミドルシュート1本とフリースロー2本、そして藤澤潔のミドルシュート1本のみ。カードを切っても、得点できずに失点し、マイナスの状態で再びユニット1に戻す、という状態が続いていた。

 しかし、今大会、最も日本に大打撃を与えたのは、第3戦のオランダ戦だっただろう。オランダには2014年の世界選手権や、最近での親善試合でも勝っており、日本にとって決勝トーナメントに進出するためには、絶対に落としてはいけない試合だった。京谷和幸アシスタントコーチ(AC)も「日本にとって一番の肝となる試合だった」と語っている。

 そのオランダに、日本は59-67で敗れた。スコア以上に、日本にショックを与えたのは、やはり「全員バスケ」ができなかったことだったに違いない。第1、2戦よりも、さらにスタメン5人の出場時間が増え、藤本、香西、豊島英は39分以上と、ほぼフル出場に近かった。

「また、あの時に戻ってしまったのだろうか……」
 敗戦という結果よりも、気がかりだったのは、2年以上かけて、一つ一つ築き上げてきた「全員バスケ」が崩壊し、脱却したはずの「主力頼りのバスケ」に戻ってしまったのではないかということだった。

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最終更新:9月18日(日)7時3分

カンパラプレス