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パナソニックは7次サプライヤーまで管理できるのか。RoHS規制の脅威再び

ニュースイッチ 9月18日(日)10時51分配信

2019年7月から電気ケー分などに使うフタル酸エステルの使用制限

  日本の電機メーカーが再び、欧州特定有害物質規制(RoHS)の脅威にさらされている。RoHSが改正され、2019年7月から電子機器へのフタル酸エステルの使用が制限されるからだ。フタル酸エステルは電気コードやケーブルに使われている物質で、使用製品が多い。しかも海外調達に頼っており、06年に始まった鉛の規制よりも対応の難易度が高い。

<監査に限界>

 14年、パナソニックが納入品のフタル酸エステルの含有量を分析してみると、衝撃的な結果が出た。購入先から含有ゼロと伝えられていたホースに10万ppm(重量比10%)を超える濃度のフタル酸エステルが入っていた。含有の判明以上に、RoHSの規制値である1000ppmを大幅に超えていた事実に驚かされた。

 ゼロと申告された他の部材でも含有が判明。逆に含有していると申告されたが、分析すると含有を確認できなかったコード類もあった。他にも申告と分析値との隔たりが次々に明らかになった。申告通りの部材も多いが、申告への信頼が揺らいだ。

 パナソニックに部材を納入した取引先に原因があるわけではない。電子機器に搭載されるコードは5次、6次、7次のサプライヤーが製造者だ。含有情報は、サプライチェーンの上流側に位置する製造者から伝達されてくる。

 フタル酸エステルは規制物質ではないため、サプライチェーンの途中で検査されることなく、情報がそのまま届いていた。

 日本の電機各社とも状況は同じ。06年施行のRoHSで規制された鉛は、プリント基板に使われる物質なので1次や2次サプライヤーが扱うことが多く、監査に出向いて製造現場を確認できた。5―7次だと監査はできない。しかもコードは汎用的な部材で海外調達が一般的となっており、サプライチェーンをさかのぼって製造元を突き止めることも困難だ。

 改正RoHSで電子機器への使用が規制されるのはフタル酸エステル4物質。最大で1000ppm(重量比0・1%)までの含有しか認められず、事実上の使用禁止だ。

 フタル酸エステルは樹脂を柔らかくする可塑剤として普通に使われている。パソコンやテレビの電源コード、製品内部の電気コードやケーブルが主な用途となっている。

<パナソニック、受け入れ検査実施>

 パナソニックは6月末、改正RoHSへの対応方針を固めた。品質・環境本部製品法規課の川上哲司主幹は「今年がラストチャンスだった」と明かす。

 同社はエアコンや冷蔵庫、テレビ、照明などコードを使う製品が多い。接着剤や塗料にもフタル酸エステルが含まれるため、日常的に扱う含有製品は種類、量とも膨大だ。海外へ伸びたサプライチェーンへの周知を考えると、早めに対応をしないと手遅れになる恐れがあった。

 フタル酸エステルが入った製品の納入停止を18年7月に設定し、サプライヤーに呼びかけた。規制開始の1年前に停止しておかないと、含有製品が在庫となって存在し、規制後に出荷される可能性があるからだ。

 「悩ましい」(川上主幹)のが、納入品の検査。フタル酸エステルは樹脂に混ざると判別が難しい。高度な分析装置なら調べられるが、装置の導入には費用がかかる。迷ったが「方針を出してほしい」という社内の声があり、17年度から必要に応じて分析装置を導入することにした。

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最終更新:9月18日(日)10時51分

ニュースイッチ