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世界初、英国で遠隔操作ロボットによる網膜手術が成功

ニュースイッチ 9月18日(日)16時10分配信

将来はロボットを使った目の遺伝子治療も視野、英オックスフォード大学

 世界初の手術ロボットによる目の内部の手術が英国で行われ、網膜疾患で右目の中央の視野が欠けていた70歳の患者が視力を取り戻した。オックスフォード大学のロバート・マクラーレン教授らが同大付属のジョン・ラドクリフ病院で実施したもの。

 遠隔操作の手術ロボットにより、眼球に開けた直径1ミリメートル未満の穴を通して真裏にある網膜を切開し、網膜を引っ張って歪ませていた厚さ10マイクロメートル(1mmの100分の1)の膜を取り除くことで、周囲に損傷を与えることなく視力を回復させることに成功した。

 網膜疾患は先進国でも失明の大きな要因となっている。レーザースキャナーや顕微鏡により疾患の部位は詳細に観察できるものの、扱う対象が非常に小さく、高い精度が要求されるため、外科医による手術は難しいのが現状だという。

 そこでこのロボットは、マイクロメートル単位で微細な手術を安全に行えるよう工夫を凝らした。ジョイスティックとタッチパネルを装備し、手術用顕微鏡で進行状況をモニターしながら、外科医がジョイスティックで操作する。その手の震えを排除しながら、指示された動きをロボットの小さな動きに変え、眼球内部での正確かつ微細な手術を可能にした。

 ロボット自体は、オランダのアイントホーフェン工科大学からスピンオフした医療ロボット会社のプリサイズ(Preceyes BV)が開発。コンピューター制御による7個のモーターを内蔵した「ロボット網膜切開機器(Robotic Retinal Dissection Device)」で、スター・ウォーズを意識したのか、R2D2という略称を持つ。

 ロボットの第1号患者として手術を受けた聖メアリー教会のウイリアム・ビーバー神父は、「視力は戻った。手術がうまく成功してうれしいし、先駆的な研究プロジェクトの一員となれて非常に光栄に思う」と感想を述べている。

 マクラーレン教授も「遺伝子治療や幹細胞での治療を行う場合、網膜の下に極めて高い精度で挿入しなければならない。この技術は目の疾患に対する新しい治療に役立つだろう」と展望している。

 オックスフォード大では現在、合計12人の患者に臨床試験を計画。第1段階はビーバー神父に対して行ったように、網膜に損傷を与えないようにして膜をはがす手術を実施する。

 これが成功すれば第2段階に移る。若い人の間で失明の原因となっている網膜色素変性や、高齢者の加齢黄斑変性に対する遺伝子治療などを想定し、ロボットが細い針を網膜の下に入れ、液体を注入する作業を評価するという。

<解説>
 オックスフォード大とプリサイズのチームは18カ月間かけて今回の臨床試験の計画を練ったとのこと。同社では2018年第3四半期にもこの眼科用手術ロボットを市場投入する計画で、米インテュイティブサージカルの「ダヴィンチ」に続けとばかり、日本の製品も含めて、いろいろな手術ロボットが今後登場してきそうだ。

最終更新:9月18日(日)16時10分

ニュースイッチ

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