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メンバー卒業の末に見出した光 架空の“ハロプロ研修生”を生み出した男の話

クランクイン! 9月18日(日)7時20分配信

 妄想とはあくなき探究心の表れである。時に行き過ぎると、誰かは“狂人”と称するが、それはまた、自分自身の思いが突き抜けた証拠でもある。ティンカーベル初野さんは、その解釈では間違いなく“狂人”だ。ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)からのメンバー卒業に悲しみ、自分の中に架空のハロプロ研修生・里中瑠美枝という人格を生み出したからだ。しかし、そこにあるのはまぎれもなくハロプロ、そしてメンバーへの愛だった。

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 アーティストと会社員、自身で楽曲も手がける中でふたつの顔を持つティンカーベル初野さん。おじいさんやおばあさんの“生態”をテーマに、今年の6月には自作PV「システムがわからないジジィとババァ」を公開した。

 ハロプロに興味を持ち始めたのは、モーニング娘。の9期メンバー(鞘師里保・鈴木香音・生田衣梨奈・譜久村聖)が加入した2011年1月頃。当時、テレビ東京『美女学』でオーディションの密着映像を見たことから心を揺さぶられた。

 初めての現場は知人と共に参加した、2011年11月23日によみうりランドで行われたモベキマス(モーニング娘。、Berryz工房、℃‐ute、真野恵里菜、スマイレージの合同ユニット)のイベント。当時は「名前を叫んだり振りコピしたりに正直引いていた」と話すが、「ほとんど曲も何もかも知らないまま参戦したのを反省して、自分も輪に加わって楽しみたいと反省しました」と語る。

 以降は現場からいったん離れ、在宅ファンを続けていた初野さん。そのさなかで、ハロプロの育成組織“ハロプロエッグ”の存在を知った。初野さんは「オーディション映像でもすぐ振り付けができたり、一般参加者の中でも『教育を受けたメンバーはやはり違う』と感じ惹かれました」と、現在では改名された“ハロプロ研修生”を追いかけ始めた理由を話す。

 研修生を追いかける中で、初野さんの人生に光をもたらしたのは、田辺奈菜美の存在だった。しかしある日、ハロプロのサイト上で田辺の“研修活動終了”が告げられる。公式の発表は2014年11月4日。悲しみに暮れる中で、初野さんは「もう会えなくなるのは嫌なので、現場へ行こうと決断しました」と話す。

 そして、2015年3月8日に行われたハロプロ研修生の定期公演以降は、都心の主要な公演に欠かさず参加するようになったという初野さん。その少し前、ブログで架空の研修生“里中瑠美枝”の日常を公開し始めた。


 初めてのエントリーは2015年2月8日。第一声は「皆さんはじめまして!ハロプロ研修生になりました里中瑠美枝です」だった。念のため繰り返すが、里中は架空の研修生である。しかし、初野さんの心の中を舞台にまさしく今を“生きる”研修生のひとりである。

 里中は「やめない研修生を作りたい」という思いから生まれたと話す初野さんだが、掘り下げると「もうひとつの人格により寂しさを癒やしたいのもあったし、研修生への憧れもあったんですよね」と心情を吐露してくれた。

 プロフィールは徹底している。加入は2014年11月、現在、こぶしファクトリーの広瀬彩海や井上玲音、つばきファクトリーの浅倉樹々などと同時期の22期メンバー。好きな先輩、憧れのメンバーはBerryz工房の清水佐紀。特技はモノマネと耳を動かせるコトだという。

 さらに初野さんは「ダンス経験はあるので踊りは得意だけど、歌割りはさほど多くないんです。研修生としては、キャリアの長い一岡伶奈、井上ひかる、加賀楓や段原瑠々に次ぐ2番手的なメンバー。今後の昇格、新グループへの加入が目標なので、頑張って欲しいですね」と、詳細を語ってくれた。

 研修生を中心に、ハロプロを追いかけ続ける初野さん。今では「ハロプロは生活の一部だし、なくなるとつまらない」と率直な思いを告げる。加えて「残業代もチケット代やグッズ代に換算するんです」「働いたことでメンバーのためになると思えば、仕事もまったく辛くないんです」と明かしてくれた。

 メンバーの脱退や卒業、グループの解散というのはアイドルファンにとっては“現実”に打ちひしがれる瞬間でもある。傷を癒やすのもたやすいことではないが、初野さんの生き方は、そのための“試金石”のようにも映る。(取材・文・写真:カネコシュウヘイ)

最終更新:9月18日(日)7時20分

クランクイン!

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。