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社説[辺野古判決と自治権]対等の精神ないがしろ

沖縄タイムス 9/18(日) 9:55配信

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、国が翁長雄志知事を訴えた「不作為の違法確認訴訟」で福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)が言い渡した判決は、改正地方自治法の精神を生かさず、むしろ後退させたというほかない。

 判決では「国が説明する国防・外交の必要性について、具体的に不合理な点がない限り、県は尊重すべきだ」と言い切っている。国が辺野古に新基地を建設するといえば、県はその考えに従え、と言っているのに等しい。

 国防・外交は国の専管事項という考えだ。だが、地方公共団体には住民の生命や人権、生活を守る責務がある。地域の意思を無視して米軍基地が建設されれば、地方自治や民主主義の破壊である。

 1999年に地方自治法が改正され、国と地方公共団体は「上下・主従」から「対等・協力」の関係に転換した。他ならぬ多見谷裁判長が今年1月に双方に提示した和解勧告文で言及したことである。政府と県との間で互いに訴訟が相次ぎ、沖縄対日本政府の対立という構図は、改正地方自治法の精神にも反すると指摘していた。

 多見谷裁判長は「オールジャパンで最善の解決策を合意して、米国にも協力を求めるべきである」と本来あるべき姿にも言及していたが、判決は地方自治の精神をないがしろにするものだ。同じ裁判長とは思えぬ豹(ひょう)変(へん)ぶりである。

 判決は国地方係争処理委員会の存在意義を否定している。地方自治の観点から、国と地方の紛争を解決する第三者機関としての在り方を問い返す必要がある。

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 民意についても判決は奇妙な論理を展開している。

 普天間飛行場の移設は基地負担の軽減につながるとした上で、辺野古新基地は「建設に反対する民意には沿わないとしても、普天間その他の基地負担の軽減を求める民意に反するとはいえない」との見方を示している。何が言いたいのだろうか。

 前提が間違っている。新基地が普天間の半分以下だから負担軽減とするが、新基地には強襲揚陸艦が接岸する岸壁やオスプレイなどに弾薬を積み込む「弾薬搭載エリア」が設置される。周辺基地と一体化した軍事要塞(ようさい)化である。

 前知事が辺野古埋め立てを承認して以来、名護市長選、知事選、衆院選の全4沖縄選挙区、参院選沖縄選挙区のすべてにおいて辺野古新基地反対の候補が勝利している。

 判決は選挙という民主的方法で示される民意を軽んじているとしかいいようがない。

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 納得できないのは、埋め立てで米軍基地ができる可能性のある「40都道府県」の全知事が住民の総意として埋め立て承認を拒否した場合、地方公共団体が国の判断に優越することになりかねないと強調している点だ。

 地方自治の否定であり、なぜ沖縄なら許されるのか。判決も「構造的沖縄差別」を追認しているのである。

 20年前の代理署名訴訟と違い、改正地方自治法の精神を酌んだ判決が出るのでは、と期待する向きもあったが、一顧だにしなかった。

最終更新:9/18(日) 9:55

沖縄タイムス