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渡辺謙さん、語り継がれる「命の投稿」 新聞投稿欄に現れた有名人 今も常連の大作家、文豪・大臣も

withnews 9月20日(火)7時0分配信

 インターネットがなかった頃、SNSのような役割を果たしていたのが新聞の投書欄でした。朝日新聞に読者投稿欄ができて、まもなく100年。今も広く投稿募集を続けている「声」欄です。じつは過去に採用された中には、文豪や政治家、俳優など著名人もたくさんいます。最近では一般の人にまじって紙面掲載された内容が、ネットを巻き込んで盛り上がることも。話題になった投稿を振り返ります。

【画像】池田勇人・谷崎潤一郎・ドリアン助川…あの人も書いた新聞投書欄

渡辺謙さん31歳、病床から投稿

 25年前から、今なお読者に語り継がれている「声」があります。1991年1月17日、米軍を中心とする多国籍軍がイラクを空爆した湾岸戦争。その翌月の2月7日、俳優・渡辺謙さんの投書が紙面に載りました。当時、31歳だった渡辺さんは急性骨髄性白血病で闘病中でした。

 タイトルは「命の大切さを私は訴えたい」。病床からのメッセージは、大きな反響を呼びました。他の読者の投稿にたびたび引用され、今年3月にも「渡辺謙さんの反戦、今も共感」という主婦の投書が大阪本社版に掲載されています。

【渡辺謙さんの投書(抜粋)】

「私は数十人の医療スタッフの力を借りながら自分の命と向かい合っています。湾岸戦争は本格的な地上戦へと移行しそうな状況ですが、家庭に送られて来る膨大な映像や情報を見聞きして“命のやりとり”という真実はやはり薄れがちです」
「百万人もの兵士が命のやりとりをしようとしているのを、外野席で応援する気には、私はどうしてもなれません。なぜ、政府は人殺しはよくないことです、と声を大にして言えないのでしょう」
「日本人として声を大にして全世界に呼びかけるべきです。どんな正義の名目をかかげても、戦争は人殺しです。その当たり前のことを、たった一つの命と向かい合っている者として訴えます」

出典: 1991年2月7日、朝日新聞東京本社版「声」

香山リカさん「生まれて初めての投書」

 最近では、8月に精神科医・香山リカさんの投書が載りました。東京都知事選の出来事にふれ、「選挙で『魂の殺人』は許せない」とヘイトスピーチの問題を訴える内容でした。投稿はネット上でも注目され、様々な議論を呼びました。

 香山さんはツイッターで4万人を超すフォロワーがいますが、なぜ新聞投書欄を意見表明の場に選んだのでしょうか。理由について、香山さんは「ツイッターの読者はどちらかというと若年層が多い。高齢者を含めた幅広い世代と、都知事選の有権者以外の方々にもヘイトスピーチの問題を知ってほしかった」と話します。

 香山さんが新聞に投書したのは、「今回が生まれて初めて」だったそうです。投書欄の今後については、「多様な言論がある中で、言いたいことが言いにくい、萎縮している世の中。賛否の両論併記で変にバランスを取るより、新聞ごとに投書欄のカラーをしっかり打ち出してほしい」と期待します。

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最終更新:9月20日(火)7時0分

withnews