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<ツール・ド・東北>3世代 家族4人で完走

河北新報 9月19日(月)10時29分配信

 東日本大震災で被災した石巻市で、自転車の輪は地域に、家族に着実に広がっている。18日のツール・ド・東北に出場した石巻市門脇の建設業佐々木信治さん(56)は、近くに住む長女の高橋あづささん(35)と孫の弥夢(ひろむ)さん(16)、希杏(のあ)さん(13)の3世代4人で女川・雄勝フォンド(60キロ)を疾走した。

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 初挑戦の希杏さんは「つらかったけど、急な坂道も自転車を降りずに走れた」と笑顔で振り返った。

 5年半前の震災で被災した。あづささんの自宅は津波で浸水して全壊。信治さんの家は地震の揺れで傾き、居間の窓が開かない状態で住み続けている。

 あづささん一家はみなし仮設住宅のアパートで暮らした後、2015年夏に自宅を再建した。信治さんは復興事業に携わり、地域の再生に尽力する。

 ツール・ド・東北は14、15年と自転車好きの信治さんと弥夢さんが出場した。弥夢さんは、信治さんから津波に漬かったクロスバイクを修理して譲り受けた。震災前に何度も借りて乗り、「普段乗っていた自転車とは乗り心地が全然違った」と弥夢さん。壊れたフレームは新品に取り換えたが、カバーが少し破けたサドルなどに痕跡が残る。

 希杏さんは昨年、さっそうと走る2人に憧れて出場を決意。あづささんも「家族の思い出にしたい」と、娘と色違いの愛車をそろえた。

 走行中は弥夢さんが先行し、信治さんと希杏さんがあづささんの疲労を気遣いながら後を追った。雨に体力を奪われながら6時間半、無事に走りきった。

 「完走できて、もう泣きそう」と喜びをかみしめるあづささん。信治さんは「みんなでゴールできて良かった」と娘と孫の顔をうれしそうに見つめた。

最終更新:9月19日(月)11時51分

河北新報