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【辻にぃ見聞】優勝のテレサ・ルー、躍進の比嘉真美子に共通するスイングの“最大加速”

ゴルフ情報ALBA.Net 9月19日(月)19時36分配信

 テレサ・ルー(台湾)の優勝で幕を閉じた「マンシングウェアレディース東海クラシック」。優勝スコアが1オーバーと粘り合いとなった前回大会の「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」から一転、20アンダーに届くのではという今季まれにみるバーディ合戦を制したテレサの強さを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が『深層』を語った。

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■パーオン率2位のショットを生み出す“狂わない”体内時計
「今大会はパーオン率2位のショットメーカー・テレサ対平均パット率4位であるパットの名手・全の戦いだったと言えます。テレサだけでなくイ・ボミ(韓国)や申ジエ(韓国)といったショットがうまい選手全般に言えることなのですが、とにかくスイングのテンポがぶれません。毎回同じタイミングで打っています。だから緊迫した状況でもいつも通りのスイングをするだけなのでショットに狂いがありません」(辻村氏)

 テレサは同スコアで迎えた正規の18番でティショットを左のラフに入れたが、そこから「手前の池ギリギリ越えるのを狙った」とグリーンオン。あと1ヤードショートしていれば、グリーン周りの傾斜で池に入り終戦となっていた。そんな痺れる場面でも自信を持って打てる要因は強靭なメンタルだけでなく、普段の練習にもあるという。

「練習を見ていても、彼女はショットを途中で止めるようなドリルなどをせず、いつも同じタイミングとリズムで打っています。そのくらい常にワンスイングで打つことを心がけてるように見えますね。そうすることで自分のリズムを覚えています。もしアマチュアの方が体内時計を作りたいと思ったら、まず意識して欲しいのは心拍数。スイングのリズムは心拍数よりも早くても遅くてもダメだからです。それを踏まえたうえで、身に付けるための練習で利用するのはメトロノームが良いと思いますが、中々手元にある人はいないと思います。そこで使ってみてほしいのがストップウォッチ。クラブを握らずストップウォッチを持って、アドレスでスタート。そこからスイングの動作をしてフィニッシュでストップを押します。これを何度も繰り返すことで自分のテンポを覚えることができるのです。3回やって3回同じようなタイムが出れば完璧です。そうすれば普段のラウンドで走った後でも、緊張する場面でも同じテンポで振れるようになるのではないでしょうか。もちろん、良くレッスンであるような“チャーシューメーン”など言葉で自分のリズムを作るのも良いでしょう」(辻村氏)

 そのテレサは今大会では最終日の13番でOBを打ったようにドライバーに不安を抱えていたが、ほとんどのホールで安定しているフェアウェイウッドを使った。それでも優勝できたのは、辻村氏が「国内女子ツアーでベスト」と評するスイングから繰り出される飛距離があるからだ。

「体全身をシャフトのようにしならせ、クラブをムチのように振るので、無駄なくヘッドスピードが出ているのが彼女の特徴です。力まず、打ち急がずゆったりと上げて適度なスピードでダウンスイングしてくるからボールを打った直後に最大加速させることができています。車に乗ってコーナーの出口で最もスピードを出すときを考えてみてください。スピードを出してコーナーに入ると途中でブレーキを踏まなければならず、コーナー出口で加速していけないでしょう。それと同じで彼女のスイングは急加速急減速をせず徐々に加速させていくからコーナーの出口、つまりインパクト直後で一番スピードが出ているのです。だからボールを強く叩くイメージが無いですが、打球が飛んでいくのです」(辻村氏)

「ショットメーカーの強みはベタピンにつけられるのはもちろん、何よりも自分の好きなラインに置くことができること」と辻村氏。ピンまで同じ5mでも自分のラインを作れるから、粘り合いでも伸ばし合いでも強さを見せることができるのだ。

■約2年5カ月ぶりのトップ10 比嘉真美子は“大人のゴルフ”になった
また、今大会の大きなトピックスとして2勝を挙げて以降、シードを失うなど苦しんでいる比嘉真美子が久々にトップ5フィニッシュをしたことだ。

「去年までの彼女と大きく変わったところとして全体的にしっかりとテーマや意味を持って取り組んでいるところが挙げられます。去年は練習場に行って、とにかくクラブを振って良くしようという感じが見受けられましたが今年は何をやるかが明確になっていると思います。ただ球を打つだけじゃなくてクラブを使わず動作を繰り返して体に覚えこませたり、朝のランニング、トレーニング、ストレッチなどを入念に40分くらいかけるなどフィジカルにも力を入れるようになりました。そうして体をしっかりと動かしてから練習場にいくのです。また、呼吸の練習も行っているそうです。しっかりと横隔膜を広げる呼吸を身に付けて、ティグランドでも同じ呼吸をして、同じリズムでプレーできるようにするなど、様々な角度から良いものを取り入れているように感じます」(辻村氏)

また、辻村氏は以前の比嘉と比べて“大人のゴルフ”になったと解説する。

「プレー面でいえば変わったのはまずスイング面。昨年は悩んでいたこともあって切り返しのタイミングで力みが出ていました。先ほどの車の話であったように、加速が先に来てしまうとその後は減速するしかありません。また、どうしても上半身に力が入っていて上だけで振っている印象がありました。ですが今年のスイングを見ると下半身をしっかりと使えていて、スピードに一番乗っているのが球を打った直後になっているので、スプーンでも良く飛んでいきます。そして何よりもゴルフが大人になりました。ジュニアの頃は“飛ばすだけ飛ばす”という印象でしたが、しっかりと振ることは残しつつ今は何ヤード残すか、フェアウェイにしっかりと置こう、といったピンから逆算するゴルフに変わったと思います」

「元々インパクトが力強くてバチーンと良い音をさせていた」と辻村氏。比嘉は2勝を挙げているように日本でも上位になれる選手だと話す。加えてショットに悩んでいた時に身に付けたショートゲームは調子が上がってきたときには大きな武器となるだろう。まずはシード復活へ、残り試合が楽しみだ。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、濱美咲らを指導。今季は上田の出場全試合に帯同し、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

(撮影:秋田義和)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:9月19日(月)19時36分

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TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。