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豊洲「盛り土」答弁、繰り返した都 都議「我々も同罪」

朝日新聞デジタル 9月19日(月)10時23分配信

 築地市場(東京都中央区)が移転する予定の豊洲市場(江東区)の主な建物の下に土壌汚染対策の盛り土がない問題で、都が都議会で「敷地全体をきれいな土で覆う」との答弁を繰り返していた。技術系職員の間では地下空間が必要との認識が共有されていたのに、なぜ実態とかけ離れた答弁がまかり通ったのか。背景の検証が焦点になる。


 土壌汚染対策をめぐっては、都が委嘱した専門家会議が2008年7月、敷地全体で2メートル分の土を入れかえ、その上に2・5メートルの盛り土をすることを提言した。ところが、11年6月に完成した基本設計には、専門家会議の議論で想定されていなかった地下空間が設けられていた。

 都議会の議事録によると都は少なくとも06~15年、豊洲市場の敷地全域で土の入れ替えと盛り土をして、土壌汚染対策に万全を期すとの答弁を重ねてきた。

 専門家会議の提言の約2年前の06年10月、土壌汚染処理の方法を問われた当時の新市場建設調整担当部長が「掘削区域を安全な土壌で埋め戻し、市場用地全体に2・5メートルの盛り土を行う」。07年2月には「新市場予定地全面にわたって二重、三重の対策を講じ、(汚染物質と)空気との接触を遮断する」と説明した。

 こうした答弁は、11年6月に基本設計が完成した後も変わらず、15年までの4年間で少なくとも20回近くに及ぶ。整備工事が進んでいた14年12月でさえ、基盤整備担当部長が「敷地全体を全てきれいな土に入れ替え、その上に2・5メートルの盛り土を行うことで、合わせて4・5メートルのきれいな土で覆っております」と答弁。最近では15年10月にも同様の答弁があった。

 しかし、実際には青果棟や水産卸売場棟など主要な建物の地下はおおむね4・5メートルの深さまで空洞になっている。その面積は計約13万4400平方メートルで、土の入れ替えと盛り土がされたのは、約40万平方メートルの敷地面積のうち7割弱にすぎないことになる。

 この地下空間は新市場の建物建設に関わる技術系職員の間では通称「モニタリング空間」と呼ばれ、将来の地下水汚染などに備える作業場として広く認識されていたことが18日、明らかになった。にもかかわらず、なぜ実態を反映しない答弁が続いたのか。かぎは土壌汚染対策の担当部門と建物の建築にあたる部門の連携にありそうだ。

 盛り土に関する質問への答弁は、市場を管理する都中央卸売市場のうち汚染対策の所管部署が担当することが多かった。答弁経験のある幹部職員は「汚染対策の全体的な考え方を述べてきた」といい、建築の状況と合わせた説明ではなかったと弁明した。

 議会で答弁した別の幹部職員は「地下部分の面積や規模について把握していなかった。縦割りと言われるかもしれないが、担当が違うので建築のことは正確には知らなかった」と話す。地下を使う計画があることは知っていたが、専門家会議の提言との整合性には思いが至らなかったという。「土壌汚染対策の説明をする場だったので、具体的な地下の使われ方を意識しなかった」

 都議会には戸惑いと反発が広がる。移転を進めてきた自民のベテラン議員は「一貫して同じ答弁で、事実に全く気づけなかった」と驚く。ただ、地下利用を示す公表資料もあり、「我々も同罪という部分はある」。都議会公明党の長橋桂一幹事長は現地を視察した14日、「議会や都民に説明がなかった。重大な局面だ」と強調した。

 問題を先行して調査してきた共産党都議団も、28日開会の都議会で経緯を厳しく追及する構えだ。


■担当部署の強化、小池知事が指示

 豊洲市場をめぐる問題について、リオデジャネイロ出張中の小池百合子都知事は17日(日本時間18日)、担当する都中央卸売市場の人員を増やし、態勢を強化する方針を明らかにした。報道陣に「私が帰国するまでの間に、局長級をはじめとする幹部の異動ができるように指示をした」と述べた。異動規模は数人で、「信頼回復のために(問題の)客観的、科学的な分析が必要」とも話した。

朝日新聞社

最終更新:9月19日(月)12時55分

朝日新聞デジタル