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HMDの革命か! メガネサイズHMD「Dlodlo V1」を試した

Impress Watch 9月19日(月)20時59分配信

 TGS 2016にはVR関連ブースばかりを集めたVRコーナーが設けられ、普段なじみのない企業の出展も多数行なわれていた。ソフトウェア、ハードウェア両面で興味深い出展が多数見られたが、その中でも特に面白いVRガジェットを見ることができたのでご紹介しよう。

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 大きめのブースでハードウェアを出展していたVR NEW WORLDは中国の深センに本拠を置く企業で、「Dlodlo」というブランド名で多彩なVRヘッドセットをリリースしている。ブース内で特にイチオシとなっていたのが、最新製品である「Dlodlo V1」だ。

■文字通りのメガネサイズで本格VRヘッドセット並の性能を実現した「Dlodlo V1」

 Dlodlo V1はメガネ型のHMDで、重量はわずか88g。厚みも16mmと薄く、その形状はスキーゴーグルか、大きめのスイミングゴーグルのような外観だ。とても本格的なHMDには見えない。しかしこれが、驚くなかれ、両眼で2,400×1,200という、HTC ViveやOculus Riftをやや上回る解像度と、105度という視野角を実現しているというのである。

 端末接続用のインターフェイスにはMini HDMIとUSBを備えており、PCとスマートフォンの双方に対応する。PCの性能を活かしたリッチなVRコンテンツを視聴することと、スマートフォンの手軽なVRアプリを楽しむことの両方が可能だ。

 Dlodloブランドの日本販売代理店を務める双日プラネットの長谷川渉氏によれば、本製品は年内の製品化を目指しており、国内価格は未定だがOculus Riftと同等のレベルになりそうだという。ちなみに双日プラネットは合成樹脂原料や電子機器材料を中心に取り扱っている会社で、もともとゲームとは縁もゆかりもなく、ゲームショウに出展するのはもちろんこれが初めて。中国企業との取引経験が豊富なことから「Dlodlo」の取り扱いに踏み切ったようだ。VRというものは実に多彩な企業の参入を促すものだと感心してしまう。

 実際に試してみたところ、その軽さに驚く。その見た目通り、装着はサングラスのようにすっと頭にかけるだけだ。総重量88gのほとんどの重量がディスプレイ部に集中しているため、軽くかけるだけでは少しづつずり落ちてしまう印象はあったが、総合的なつけ心地は良好だ。このあたり製品ではさらに改善する予定だという。

 表示性能はおおよそHTC ViveやOculus Riftに近いものだと感じられた。小型なだけにハウジング部分がかなり顔に密着するため、メガネとの併用は不可だが、かなりの近視の筆者でもハッキリとした映像を見ることができた。その理由は、ディスプレイパネルとレンズ間の距離が非常に近いためだろう。焦点距離が近いことから、逆に遠視の人には辛いかもしれない。

 レンズが薄いためか他のHMDのように強いディストーションがかかっている感もなかったので、レンズによる歪み調整は最小限に留められていると思われる。そのため見え方は他のHMDと少々違った感じだったが、視野角はHTC ViveとOculus Riftの中間くらいの印象で、VR用途として充分なレベルにある。

 デモコンテンツは大量のガイコツ戦士に襲われるというゲームだったが、視野方向のトラッキングはRift/Vive等と同等の滑らかさで、おそらく90Hz程度のリフレッシュレートが出ている。気になる点としては全体の輝度が低く感じられたことが挙げられるが、これはデモ機の調整がそうだったのか、それともパネルの表示性能的にそうなっているのか、見分けることはできなかった。それから本製品はポジショナルトラッキングに対応していないので、頭部移動を必要とするコンテンツは利用できないという弱点もある。

 いくつか気になる点はあったものの、HMDのハードウェアとしては出色の出来だと感じられた。88gという軽量さ、スイミングゴーグルとそう変わらないサイズ感で、ハイファイVRのHMDに匹敵する表示性能を確保している事実は衝撃的だ。なにしろRift/Viveの5分の1以下の重量なのである。実際に付けてみる前はあまり期待していなかったが、結果として非常に驚かされた。

 VR業界ではよく「VRはメガネサイズになってからが本番」と言う声をきくことがあるが、この「Dlodlo V1」は(ポジショナルトラッキング無しとはいえ)、その理想を非常に高いレベルで実現しようとしている。この方向性で正しく進化していけば、まさにVRの世界に革命をもたらす製品に成長するかもしれない。中国製VRヘッドセット、侮りがたしである。

 ただし、大きな問題もある。本製品はPCにて独自のSDKを持っているため、既存のVRアプリはそのまま動作できず、同社のSDKを使って開発を行なう必要があるとのことである。これでは対応コンテンツの不足に悩むのは火を見るより明らかなので、OpenVR(SteamVR)に対応するなど業界のスタンダードに合わせる施策が必須になると感じられた。解像度やレンズ歪みの違いからOpenVR対応は困難も予想されるが、ぜひ既存のVRコンテンツを幅広く動作できるハードウェアになって欲しいところだ。

GAME Watch,佐藤カフジ

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最終更新:9月19日(月)20時59分

Impress Watch

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