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【上州この人】南部杜氏資格試験合格・今井健介さん(62)

産経新聞 9月19日(月)7時55分配信

 ■来年の新酒鑑評会で金賞狙う

 7月に岩手県で行われた南部杜氏資格選考試験に県内から唯一合格した聖酒造(渋川市北橘町)の今井健介さん(62)。若者のアルコール離れが進み、昨年の日本酒の国内出荷量はピーク時の3分の1、60万キロリットルを割り込むなど置かれる環境は厳しい。その中で、製造者の取り組みを聞いた。

 --南部杜氏の試験に挑戦した理由は

 「今までは杜氏を雇って冬の寒仕込みをしてきたが、高齢化や経費節減で社員や家族らが杜氏となって酒造りをする酒蔵が増えてきた。私は平成19年から岩手出身の南部杜氏で現代の名工の小原喜六さんに技術指導を受け、22年から自分が杜氏となって酒を造っていた。南部杜氏の試験の存在を知り、挑戦を決めた。試験は年1回で、受験資格が岩手県在住者から8年に県外者にも門戸が広げられた」

 --南部杜氏の特徴は

 「東北は酒造りのレベルが高く、全国新酒鑑評会で南部杜氏がよい成績をあげ、全国で184人が現役で働く。県内では私を含め、これまで3人の南部杜氏がいた」

 --どんな試験なのか

 「醸造学、酒税法、小論文と利き酒。いきなり試験は受けられず、1年目に特科コース、2年目に研究科、3年目に杜氏科-とそれぞれ4日間の講習を岩手で受け、26年に初めて受験できた」

 --何回で合格?

 「3回目でやっと…。特に醸造学が難しく、60過ぎてからの勉強は大変、受験者の中で私が最高齢(笑)」

 --利き酒の方法は

 「3つの杯に入った日本酒のアルコール度数や辛さなどを順番に並べる。事前に利き酒の練習をして試験に臨んだ」

 --酒を飲めないとだめですね

 「利き酒は少量なので飲めなくても大丈夫。逆に下戸のほうが味が分かることもある。酒が常に身近にあるので、誘惑に負けてつい一杯なんてことはない」

 --次の目標は

 「資格を取ったから何かができるというものではない。学んだことを生かして技術をレベルアップしたい。10月からいよいよ『寒造り』が始まる。来年は全国新酒鑑評会で金賞を狙う。高くても売れるおいしい純米酒や吟醸酒を造る。そして培った技術を他の酒にもフィードバックすることが、地方の酒蔵の生きていく道だと思う」

最終更新:9月19日(月)7時55分

産経新聞