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W杯5連覇を果たしたマドンナたちが見据えるもの

デイリースポーツ 9/19(月) 14:00配信

 9月3日から11日まで、韓国・釜山広域市で第7回WBSC女子野球ワールドカップ(W杯)が開催され、侍ジャパン女子代表、通称マドンナジャパンは大会5連覇という偉業を達成した。

 日本は予選7試合を全勝、うち4試合がコールド勝ち(五回以降10点差)で決勝進出を果たした。そしてカナダとの決勝戦も10-0(コールド規定なし)の完勝だった。8戦全勝。W杯での連勝を21に伸ばした。

 結果だけを追えば、日本は圧倒的に強く、他の国は“草野球レベル”と意地悪な見方をする人もあるだろう。たしかに、いわゆる発展途上の国も出場していた。しかし野球先進国の米国、カナダ、豪州などとの圧倒的体格差も、マドンナジャパンは長年跳ね返し続けてきた。

 唯一の高校生、埼玉栄の清水美佑投手は、同学年の男子が侍ジャパンU-18でアジアナンバーワンになっていたことに刺激を受けていた。そして「男女差など違う部分もありますが、こちらは世界一。達成感があります」と胸を張った。

 今年の代表メンバーは、下は清水の18歳から、上は金由起子(ホーネッツ・レディース)の38歳までの20人。女子プロ野球出身は5人。初選出は8人。こうした幅広い出自の女性たちを、大倉孝一監督(54)はまとめ上げ、選手たちも見事に応えて見せた。

 その上で、国内に目を向けたい。全日本女子野球連盟によると、女子硬式野球の競技人口は現在、2000人を超えてきた、というデータがある。記者の知る限り、取材を始めたこの4年間で、3倍以上に増えている。例えば高校の女子硬式野球部も現在24校にあり、この4年で倍増した。

 とはいえ、だ。競技そのものはまだ、マイナーの域を出ない。受け皿、つまりチーム数の問題もあるが、男女に限らず軟式と違って硬球は当然、危険も伴うことから原っぱや河川敷での活動が認められることもほとんどない。

 大倉監督は今回の5連覇を「使命」と位置付けた。それは、純粋に勝ち続けなければ、という思いだけではない。世界最強の日本であっても、他競技との比較を言えば国内ではまだまだ、発展途上だ。しかし、勝つことで硬式野球をやりたいと考える野球少女たちや、学校などに、大きな関心を持ってもらえる、という。

 「代表選手たちに、ものすごい感動を経験してもらえるのがW杯。それによって、それを見る人も『いいなあ』と思ってくれるはず」

 だから、どうしても勝ちたかった。最後にカナダを破っての、第一声は「ホッとしました」だった。これで来年から、今まで同様、倍々ゲームで競技人口もチーム数も増える、とは考えていない。10年後、20年後。女子硬式野球が、例えば高校の部活動の一つとして当たり前のように女子スポーツの選択肢に加えられていればいい。

 そのために大倉監督は、代表チームを育てると同時に、メディアに対しては試合中のベンチや選手の個室などを除き、ほぼすべての場所を解放した。決勝直前のミーティングから、祝勝会場に至るまでだ。

 勝利と普及。その両方をおろそかにせず、勝ちきった大倉監督以下マドンナジャパンのメンバーに、心から拍手を送り、発展を祈りたい。(デイリースポーツ・西下 純)

最終更新:9/19(月) 14:08

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