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豊洲の空洞は汚染対処、万一に備えた「重機搬入用」 都が説明も証言錯綜

産経新聞 9月19日(月)7時55分配信

 築地市場(東京都中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)の主要施設下で土壌汚染対策の盛り土がなかった問題で、都が地下空洞を設けた理由について、汚染トラブル時の重機搬入用だったとの見解を調査報告に盛り込む方向で検討していることが18日、都関係者への取材で分かった。当初は配管用と説明していたが、その後、雨水などをためるタンクなどの存在も発覚。都の担当者間での情報共有ができておらず、事実確認のための調査は迷走を続けている。

 豊洲市場をめぐっては、土壌汚染対策を検討する専門家会議が平成20年7月、ベンゼンなどの有毒ガスが地表に漏れ出さないよう敷地内全域に高さ4・5メートルの盛り土をするよう提言。だが、都は提言に反して施設下については盛り土を行わず、コンクリート製の地下空洞を設置。都議会やホームページなどでは盛り土を行ったかのような説明を続けてきた。

 小池百合子知事は、こうした誤った情報発信を問題視。ブラジル・リオデジャネイロ出張から帰る21日までに経緯などを整理するよう指示した。

 ◆調査難航

 都の担当部署は、なぜ盛り土をせず、地下空洞を設置することになったのか過去の担当者への聞き取りを行っている。だが、担当者間で証言が食い違うなどしており、調査は難航している。ある幹部は「土壌汚染対策の担当者と、施設建設の担当者での情報共有ができておらず、見解に隔たりがある。縦割り行政の弊害と言われても仕方がない」とこぼす。

 そうした中、都幹部が注目するのが、汚染対策の工法を検討する20年12月の技術会議で、都側が行った次のような説明だ。「万が一、地下水から汚染物質が検出された場合に浄化が可能となるよう、建物下に作業空間を確保する」

 都によると、主要施設の1階のコンクリート床部分には巨大な搬入口が用意され、地下に重機などを搬入できるようになっている。地下空洞は青果棟が高さ約5・5メートル、水産卸売場棟、水産仲卸売場棟が約4メートルと配管用にしてはかなり大きく、小型ショベルカーなどの作業用とすれば、「巨大すぎる」との指摘もある空洞が整備された実態とも符合する。

 ある幹部は「建物下の地下水で汚染物質が出た際に重機を入れて掘るため、地下空洞を設けると説明を受けた」と言及。別の幹部も「汚染除去は終わっているが、万が一に備えて二重、三重の対策をするのが都の責務だ」と話す。

 ただ、青果棟以外の2施設の地下は、人がくぐらなければ通れないほど低い位置にまで配管が敷設されており、実際に現場で重機が稼働できるかは不透明だ。

 ◆なし崩し

 複数の関係者によると、21年7月以降、22年7月までには地下空洞を設置することが決まっていたとみられるが、盛り土を行わない安全対策が適正かどうか専門家会議には諮っておらず、手続き上の瑕疵があった。

 都幹部の一人は「当初の目的は何であれ、なし崩し的に地下の整備が進んでしまった可能性がある」とし、別の幹部は「地下空洞を設けることは聞いていたが、汚染対策の大前提である盛り土をしないという認識はなかった」と釈明する。

 「巨大すぎる」地下空洞が建設費の高騰を招いた可能性は拭えず、小池知事が16日に立ち上げた「市場問題プロジェクトチーム」(小島敏郎座長)は高騰の経緯などを調査。施設の基本設計を行った大手設計会社「日建設計」(千代田区)などへの意見聴取も行う予定だ。

最終更新:9月19日(月)8時6分

産経新聞

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