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米大統領選 ヒラリー氏は本当に重病なのか?ジョーク交えて不安払拭に躍起だが…ネットでは「奇妙な動作」の映像があふれ

産経新聞 9月19日(月)16時45分配信

 米大統領選の民主党候補、ヒラリー・クリントン前国務長官(68)が9月11日、ニューヨークで開かれた米中枢同時テロの追悼式典で体調不良を訴え、おぼつかない足取りでスタッフに支えられて車に乗り込む様子が映像で世界に伝えられた。テロから15年の節目となる大事なイベントに無理を押して出席した-という美談として受け止められないのは、自らの体調をめぐる「疑惑」に正面から答えてこなかったクリントン氏の不透明性が原因だ。

 11月8日の大統領選まで2カ月を切った時期に、最低4年間、超大国をかじ取りする健康状態にあるかについて疑問符が付けられたことは、致命的な失態だ。クリントン氏は「事件」翌日の12日夜、ニューヨーク郊外チャパクアの自宅からCNNテレビに電話で出演し、健康不安説の払拭に努めた。

 「気分はかなり良くなった。すぐに休養を取って、その後のスケジュールも見直せばよかったのだろうけど、そのまま続けられると思ったの」

 米国民が変調に気付いたのは今月5日。オハイオ州での演説中に激しくせき込んだクリントン氏はライバルの共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)名を挙げて、「トランプ氏のことを考えるといつもアレルギーになる」と冗談に転じて聴衆を笑わせた。

 しかし、9日朝に訪れた自宅近くの医師の診断は肺炎。抗生物質を処方され、5日間の休養を勧められたが従わず、歌手のバーブラ・ストライサンドさんらが顔をみせた大口献金者との会合に参加し、11日の追悼式典への出席を強行する。肺炎と診断されていた事実は同日午後まで隠されていた。

 クリントン陣営は、肺炎と診断された事実を最高幹部は知っていたと説明しているものの、クリントン氏が誰にも伝えていなかった可能性もある。

 ともにホワイトハウスを目指すランニング・メート(伴走者)である副大統領候補、ティム・ケーン上院議員(58)はクリントン氏が式典を途中退席した直後にメールを交わしたと公表したが、事前に肺炎になった事実を聞いていたかどうかは明確にしていない。

 クリントン氏が後継を目指すバラク・オバマ大統領(55)の元側近で大統領上級顧問を務めたデビッド・アクセルロッド氏(61)はツイッターでクリントン氏や陣営の秘密主義を揶揄(やゆ)した。

 「抗生物質で肺炎は治せるが、不健康な秘密体質がたびたび不要な問題を作り出していることへの治療法は何だろう?」

 自らの健康状態に関して、クリントン氏が何かを秘密にしているとささやかれ始めたのは、国務長官在任中の2012年末からだ。クリントン氏はウイルス性の胃腸炎で体調を崩し、自宅で脱水症状を起こして転倒。脳振盪(しんとう)を起こした。その際の検査で頭部の静脈に血栓が発見されて入院したが、血液抗凝固剤投与などの治療で回復した。

 クリントン氏が16年の大統領候補として注目されるにつれ、保守系の論客やメディアが真相に迫ろうと躍起になった。陣営は完全に回復していると説明しているものの、世界最強の米軍最高司令官となる人物が健康不安を抱えているとなれば、格好の攻撃材料となるからだ。

 記者の質問に対してクリントン氏が過剰に首を振ったり、手を胸にあてて震えを止めたりするような動作をもとに、パーキンソン病やてんかんなどを患っているという「重病説」がネット上で飛び交っている。

 人工妊娠中絶を認めないなどの保守的な立場を取る医師で作る全米内科医・外科医協会もクリントン氏が肺炎と診断された前日の8日に同氏の病状に関して尋ねた世論調査の結果を発表。それによると、250人の医師のうち約71%が「重病であり大統領を務める資格がない」との回答を選択した。

 こうした「重病説」を「クリントン氏はパーキンソン病とみられる」「奇妙な行動でクリントン氏の健康に疑い」などの見出しで拡散している代表は保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」だ。

 最近までブライトバートを率いていたスティーブン・バノン氏(62)はクリントン夫妻が主宰する慈善団体「クリントン財団」への外国政府・企業の巨額献金に関するベストセラー「クリントン・キャッシュ」を映画化。現在はトランプ陣営の最高責任者(CEO)として選挙運動を指揮している。

 クリントン陣営は「重病説」をトランプ陣営が広める陰謀論として切り捨てる。これまで甲状腺機能低下症、季節性アレルギー(花粉症)以外は健康としてきた医療記録を追加公開し、選挙運動も再開して大統領職の遂行に影響がないと強調する。

 しかし、11日に体調不良を訴えた車に乗り込む様子をとらえた映像は、クリントン氏が一瞬気を失ったように見える。自らの健康問題で何かを隠していると受け止められれば、クリントン財団への巨額献金、国務長官在任中に私用メールを使った問題で低下した信頼性はさらに低下する。有権者がトランプ氏を「より信頼できる」と答えた世論調査もあり、クリントン氏の戦いは必ずしも盤石ではなくなってきた。(ワシントン支局 加納宏幸)

最終更新:9月19日(月)16時45分

産経新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。