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【BARKS編集部レビュー】qdc 8CS、これが究極の理想形か?

BARKS 9/21(水) 14:32配信

先日、qdc(Shenzhen Qili Audio Application., Ltd.)からリリースされている8CS/8CH/8CLというカスタムIEM3モデルの試聴機を元に、それぞれの魅力や特徴をレビュー記事として執筆したが、いずれのモデルもそれぞれの目的に合致した特徴を、高い完成度で実現させていた。善し悪しや品質レベルで選ぶべきバリエーションではなく、完全に使用目的、あるいは好みで選ぶべき3モデルであることがわかったので、自身の所有ラインナップと突き合わせ、キャラかぶりせずに楽しめそうなモデルという観点で検討し、私の場合はニュートラルな大基本サウンドと思しき8CSを選択、オーダーすることとした。

◆qdc 8CS画像

待つこと約1ヶ月半、実機が完成し耳にしてのサウンドの第一印象は、試聴機で感じたものと全く変わらなかった。非常に滑らかで瑞々しいサウンドだ。造形も見事で、完璧なフィット感と遮音性がきっちり確保されている。ネットワークも、基板とシルバーのケーブルで美しくまとめられており、とても丁寧な仕事ぶりが見て取れる。シェルも綺麗で透明度高く、ネガティブなポイントは一切見当たらない。

そして何よりそのサウンドが素晴らしい。すべての音がクリアに聞こえているけど、どの帯域も控えめでオラオラ感がほとんどなく、寄り添うように優しいトーンが8CSの最大の特徴となっている。音の塊を投げつけるようなワイルドさはなく、間接照明のようにやさしく身体に降り注がれる印象で、「どうだ、いい音だろ」と主張する気配が全くない。派手さはないが肌触りは甘く、肌のキメの細かさが美しさを際立たせているようなすっぴん美人の印象だ。ヌケが良くサラッとした心地よさは、ベタつきの全くない湿度の低いサウンドから来ているようだ。

とはいえ、同時にウイークポイントは、そのあまりに率直なゆえの遊び心のなさで、音源の素性をそのまま綺麗にトレースしてくれる実直さが、音源自体の特性を描き暴いてしまうシビアさに直結する。あまり音が良くないと思しき1970~1980年代のオリジナルCD音源などは、その音のショボさがそのまま耳に届くので、聴いていてちょっと辛くなったりする。オリジナル盤しか持っていないジューダス・プリースト音源などは、んもう…早くリマスター買わなくちゃ耐えられん、といった感じだ。

一方、同じ8ドライバーでもJH Audioアンジーはキャラクターが真逆で、エンターテイメントを徹底追求したような陽なサウンドを聴かせてくれる。「どんな音源でも楽しくノリノリに聴かせますよ」とでも言うかのグルービーなサウンドで、音質の良くないクラシックロックでもドシバシドンチャカ陽気に聴かせてくれるし、重低音がたっぷり入った最新のダンサブルなJ-POPなどは、屈託なくはっちゃけたサウンドで楽しませてくれる。「そうそう、音楽ってこうでなくっちゃ」という吹っ切れた気持ちよさが「もうスペックなんてどうでもよくね?」という思いにすらさせてくれる。ハイの抜けがいまいちなところも許せてしまうような、悪ガキのような憎めなさがJH Audioの魅力なんだよな…と、qdc 8CSとは好対象の存在感が際立つようだ。

中央に8CSを置いて、それよりも高域の伸びとともに楽しいリスニング環境を提供してくれるCW-L71側に振れるのであれば8CHを、逆にアンジーのような肉厚な楽しさ側に振りたいのであれば8CLを選択すれば、間違いないだろう。まだ日本上陸したばかりで市場での評価が全く定まっていないqdcだが、少なくとも8CS/8CH/8CLに限って言えば、世界トップレベルのクオリティにあることは間違いないことがわかった。さすが、中国ではステージモニター用のカスタムIEMとして既に70%のシェア率を誇るのは、伊達ではないということだ。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

●8CS Studio Series
・ドライバー:バランスド・アーマチュア型(BA型)
・ドライバー構成:8 ドライバー Low x 2, Mid x 2, High x 4
・周波数特性:20Hz - 20kHz
・入力感度:112dB @ 1mW
・インピーダンス:22Ω
・イヤホン端子:qdc社独自の2pin端子
・入力端子:3.5mm ミニ端子
・付属品:IEM Cable、Carrying Case、Cleaning Tool、保証書(1年間)

最終更新:9/21(水) 14:32

BARKS