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パンも笑顔もほっこり 看板おばあちゃん 70年この道ひと筋 長崎・館内

長崎新聞 9月19日(月)9時25分配信

 長崎市館内町のパン屋「フカダベーカリー」には、看板おばあちゃんがいる。深田律子さん(84)。戦後の食糧難の時代からこの道一筋70年。店頭でパンを売り続け、世代を超えて親しまれている。19日は「敬老の日」。

 午前8時。開店の時間になると店内には甘い香りが立ちこめる。店先にある木の椅子が深田さんの「職場」。ここに毎日座り、客にパン選びをアドバイスしたり、世間話をしたりする。「このパン、おいしいよ」。深田さんが笑うと、客もつられて笑顔になる。

 1945年に父が創業。食糧難の時代で、町の人たちに重宝された。当時女学生だったが、厳格な父に毎日店の手伝いをさせられた。25歳で結婚。夫の國夫さん=享年82=が2代目で、今は長男(53)に経営を任せている。

 70年、店頭に立ち、客と会話し、パンを売り続けてきた。町で育った少年が大人になり、子どもを連れて店に顔を出してくれることもある。

 時代は移り、町の景観は創業当時と比べ大きく変わった。昔は商店がひしめき合い活気があったが、今は空き家ばかり。外で遊ぶ子どもも減った。2018年度には近くの館内、牟田口両市場の解体も協議されていて、町の姿はこれからもっと変化しそうだ。

 それでも、昔も今も変わらない思いがある。それは多くの人と店のつながり。「きついこともあったけど、お客さんに『おいしい』と言ってもらえるのがうれしい。これからも元気でこの店と客を見守りたい」

 「昔から変わらない」と言われる柔らかい笑顔で、深田さんはそう言った。

長崎新聞社

最終更新:9月19日(月)9時53分

長崎新聞