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日本一長い? 「赤」が6分30秒の道路信号機 誕生の背景に鉄道の歴史

乗りものニュース 9月19日(月)14時40分配信

カップラーメンが余裕で出来上がる赤信号

 クルマを運転しているとき、赤信号の長さにため息をつくこともあるでしょう。しかし日本には、なんと6分30秒も「赤」が続く道路の信号機があります。

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 それは福井、滋賀両県が管轄する県道140号線、その県境に位置する柳ヶ瀬トンネル両端の、トンネルへ入るクルマに向けて設置された信号機です。

 これほど長時間わたって赤信号が続くことには、もちろん理由があります。この柳ヶ瀬トンネルは1352mもの長さですが、幅が狭く、クルマのすれ違いがほぼ不可能。福井県側、滋賀県側から交互にクルマをトンネルに進入させ、その通過を待つため、6分30秒も「赤」が続くのです(トンネル内に2か所の離合場所が存在するが、現在は完全交互通行で運用)。

 なぜこのような、赤信号を6分30秒も続けねばならない狭く、長いトンネルが生まれたのでしょうか。それには、ある歴史が関係します。柳ヶ瀬トンネルは元々、道路のトンネルではなかったのです。

近畿~北陸間の輸送で重要な存在だった柳ヶ瀬トンネル

 2016年現在、クルマとバイク用に供用されている(路線バスを除く大型車、歩行者、軽車両は通行止)柳ヶ瀬トンネルですが、もともとは官設鉄道の単線の線路として誕生。のちに福井駅や金沢駅、富山駅経由で近畿地方と北陸地方を結ぶ重要な鉄道路線、国鉄・北陸本線の一部になります。「単線」とは、かんたんにいうと線路が1本の状況で、線路が2本あり列車がすれ違えるものは「複線」といいます。

 さて、この柳ヶ瀬トンネルを含む区間は1882(明治15)年に開業しましたが、勾配が厳しく、北陸本線における輸送上のネックになっていたことから、1957(昭和32)年に長いトンネルをともなう新線(現在の北陸本線のルート)が開業。柳ヶ瀬トンネルのある旧・北陸本線の線路は、柳ヶ瀬線という木ノ本駅(現・滋賀県長浜市)と敦賀駅(福井県敦賀市)を結ぶローカル線になりました。

 しかし柳ヶ瀬線の利用状況は思わしくなく、1964(昭和39)年に廃止。柳ヶ瀬トンネルは道路化され、列車の代わりに運転される国鉄バスの専用道路に生まれ変わります。これがのちに一般開放され、現在へ至っているのです。

 つまり柳ヶ瀬トンネルは元々、1本の線路を通すための「単線トンネル」として造られたため幅が狭く、クルマがすれ違える十分な幅がないことから、6分30秒もの赤信号が誕生した、というわけです。

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最終更新:9月20日(火)8時33分

乗りものニュース