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逆境に立ち向かう青森、岩手の酪農家 首都圏出荷で販路拡大、機械化で脱「4K」目指す

デーリー東北新聞社 9月19日(月)11時42分配信

 高齢化や飼料の高騰により、全国の酪農家の数は年々減少している。青森、岩手両県でもこの20年間で半減し、特に小規模農家の落ち込みが目立つ。数頭の乳牛を飼っていれば家族が生活することが可能だった時代もあったが、昨今の円安による飼料高騰などで不採算に陥る農家が増加。生乳の買い取り価格は一定なため、利益を出すために規模を拡大するか、廃業かを迫られる現状にある。農家からは「先行きが見えない」「若い人が見向きもしない」と嘆く声も聞こえ、後継者不足も深刻だ。このまま酪農は先細りしてしまうのか―。逆境へ立ち向かう両県生産者の取り組みを探った。

酪農を身近に

 岩手県洋野町大野の生乳業「おおのミルク工房」(塩倉康美社長)は地元産の生乳を100%使用した「おおのミルク村 ゆめ牛乳」を中心に、飲むヨーグルトなどを商品展開。同町や久慈市の店頭に並び、町内の学校給食に採用され、地域で愛される。今年は新ブランドを設立して首都圏へ出荷し、販路を拡大させた。

 同社は地元の酪農家が株主となって創設。2004年に農協が乳製品加工事業から撤退したのを機に、加工施設の有効活用を考えた地元の酪農家たちが「自分たちの牛乳を飲んでほしい」と、翌年に事業をスタートさせた。

 自身も40頭の乳牛を抱える塩倉社長(49)は「当初は心配もあったが、やって良かった。何よりも自分たちが搾った牛乳だと胸を張れる」と笑顔を見せる。

 塩倉社長の牛乳は関東圏へも出荷するが、流通過程で他地域分と混ざってしまうため、どこの会社の製品に使用されたのかが分からなくなってしまうという。

 「(同社の牛乳は)自分の搾った分が確実に入っているので励みになるし、消費者の笑顔が何よりも喜びになる」。

 地元消費者との距離が近づくことは、後継者の育成にもつながると考える。「地元で搾った牛乳を給食で飲んでいるんだよと、子どもたちにアピールできる。ただ売るだけでなく、酪農に親しむきっかけにもしたい」と意気込む。

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最終更新:9月19日(月)11時42分

デーリー東北新聞社