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【あの時・75年カープ初優勝】(5)“叩き上げ”と“家族的”の伝統誕生

スポーツ報知 9月19日(月)15時20分配信

■取捨選択

 5月3日の就任会見で、古葉は控えめに抱負を述べている。「ルーツの残していった積極的な野球と、若さを前面に押し出し、時には足を使った私の考える攻撃を展開したい」。最初の仕事はメジャー流調整の取捨選択。1日30球以上の投げ込み禁止に対し、新指揮官が出した方針は200球の投げ込みだった。

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 ここで「投げ込み不要論」の是非を問う気はない。ただ、この年のカープ投手陣はあまりに脆弱(ぜいじゃく)だった。完全試合を含む3度のノーヒットノーランを記録していたエース・外木場を除けば、佐伯和司、池谷公二郎の23歳コンビに期待するしかない。ともに前年は2勝止まりだったが、池谷は「投げ込んでいるから、ど真ん中に投げても打たれないという気持ちがある」と自信をつけた。ルーツ在任中は0勝2敗だった佐伯も、古葉の下で15の勝ち星を積み上げた。結局、3人合計で112試合に先発し53勝を挙げた。

■ルーツに学んだこと

 審判へのキックで名をはせた宮本投手が常勝軍団の阪急から移籍した時、重松球団代表から「頑張って5位になろう」と言われ落ち込んだという話が「カープ50年―夢を追って―」(中国新聞社刊)で紹介されている。ルーツのような強烈な個性を持った「黒船」が来なければ、どっぷりつかり込んだ「負け犬根性」は払拭できなかっただろう。一方、敵と戦わず審判団と争ってばかりでは戦略もへったくれもない。40年以上たった今、ルーツに学んだことは何かと古葉に問うと「こんなこと言っちゃなんだが、野球に関してはほとんどない」と苦笑した。

 高校生の時に父を亡くした古葉は、生活のことも考え、プロ入りに際し早めにレギュラーになれそうな球団を選んだ。「3年目くらいに芽が出ないとプロで生きていくのは難しい」。自らの体験を下敷きに、若手を徹底的に鍛えた。足があると思えばスイッチヒッターに転向させ、高橋慶彦、山崎隆造、正田耕三といった名選手を輩出した。

 厳しいだけでは人はついてこない。優勝投手に指名した金城は前年20勝で最多勝に輝いたが、オフの交通事故で失明の危機に陥った。夏場に復帰したばかりで、大一番に送り込むには不安もあっただろうが、功労にきちんと報いた。

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最終更新:9月19日(月)15時20分

スポーツ報知

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。