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高齢者目線で特殊詐欺被害防止 「県民捜査官」が奮闘中

北日本新聞 9/19(月) 0:47配信

 県内で家族や公的機関の職員などをかたる特殊詐欺の被害が後を絶たない。被害者はお年寄りが多く、今年に入ってから8月末までの被害者79人(暫定値)のうち、7割以上の59人が60~90代。捜査の網を広げようと、2月に県警が任命を始めた同世代の「だまされたふり県民捜査官」が奮闘している。メンバーは主に金融機関や官公庁などのOBだ。狙われる高齢者と同じ目線で被害抑止に励む捜査官は、「お金が絡む電話があったら、どうしたらいいのか。19日の『敬老の日』を機会に、家族で話し合ってほしい」と話す。 (社会部・野村達也、久保智洋)

 だまされたふり県民捜査官は県内全15署で計190人が指定された。特殊詐欺とみられる不審な電話がかかってきた場合は“だまされたふり”をして犯人の要求に従うことで警察の捜査に協力し、日頃は地域で啓発活動も行う。2月に高岡署から指定された山田孝雄さん(76)=高岡市中保=もその一人だ。

 山田さんは任命前、既に「だまされたふり作戦」を成功させている。2014年6月、自宅に社債取引を持ち掛ける電話があったが、元金融機関職員の山田さんは「すぐに怪しいと思った」。警察に通報した際に同作戦への協力を依頼された。数十回に及ぶ電話でのやりとりの末、約20日後、山田さん宅に来た男は張り込んでいた捜査員に逮捕された。

 山田さんは自らの体験を基に、地域住民らに注意を呼び掛ける講演や講習会を開催。「特殊詐欺の知識を広めて、だまされたふり作戦の協力者を増やし、犯人の逮捕につなげたい」と力を込める。

 「誰にでも相談しやすい地域づくりが防犯の第一歩」と話すのは5月に富山西署から指定を受けた谷井光昭さん(77)=富山市呉羽町。呉羽地区自治振興会長を長年務めており、「地域の防犯のためならいくらでも協力する」と県民捜査官を引き受けた。

 同地区は交通量のある県道が通っており、金融機関が多い。谷井さんは同署と協力し、特殊詐欺などへの注意を促す防犯教室を年に3回実施。巧妙化する特殊詐欺の手口について「息子や孫のために一生懸命ためたお金が、家族をかたった犯人にだまし取られるケースも目立つ。許せない」と憤り、住民への声掛けも積極的に行っている。

 県警捜査2課によると、1~8月の特殊詐欺の被害総額は約2億1800万円。前年同期比で若干減っているものの依然として被害は大きい。県民捜査官の制度が始まってから容疑者の逮捕に直接結び付いた例はないが、同課の廣幡哲男次席は「長く続ければ成果が表れるだろう。捜査官の広報活動により、地域住民が特殊詐欺について理解を深めるなど潜在的な効果は徐々に出ている」と話している。

北日本新聞社

最終更新:10/18(火) 16:59

北日本新聞